モテ男、目立つ ページ40
ゆったりとした音楽と、人々のお喋りのBGMの中に、ひっそりと交じる囁き声。
「あの席、あの席の男子イケメン!」
「ほんとだ!めちゃくちゃ背高いし、格好いい!」
斜め前の席から密かに聞こえるそないな会話に、俺は内心フッフと笑う。──────そんな俺には目もくれず、メニューと睨めっこしとるのが、目の前の女。
「どっちにしよう…、ハンバーグとオムライス…」
レディーファーストやから、初めにメニュー見てえぇよ。と言えばかれこれ5分は悩んどる。長すぎる。
「あっ、パンケーキも食べたい」
「遅いわ!はよ決めれ!」
くわっと声を上げると、斜め前の席がビクリと震えた。
「ごめんなさい…、はいどうぞ」
決まったらしく、手渡してきたメニューを眺める。あ、カツカレーとスパゲッティにしよかな。
ピンポン、とチャイムを鳴らして来た店員さんは俺の顔を見てちょっと照れ臭そうに「御注文は?」なんて。わかり易いなぁ。頼むと「少々お待ちください」と笑顔で去っていった。
「でもさ、前の女の子彼女かなぁ?」
また別の席から囁き声が聞こえる。その内容に耳を傾けとると「でも、結構地味だし、そんなに」
「佐原!今度春高の一次予選あるから、また見に来いや。今度はホンマの公式戦やで」
聞こえないように、聞かせないように、声を張ると佐原は目を丸くしてから「うんうん」と頷いた。
「行きたい…!」
「よっしゃ。色々決まったら教えるわ。せや、それに勝てば、春高っちゅう、バレーのごっつ大きな大会に参加出来てな──────」
そこから料理が運ばれてくるまでバレーの話をすると、佐原は時々興味深そうに質問しながら一生懸命聞いてくれた。時に驚いて、時に感動して、時に笑う表情から、目ぇ離せんかった。
料理が運ばれてくると、佐原は語彙力喪失モードの時みたいに目を数多の星のように輝かせとった。食べ始めればぶわっと満面の笑顔を浮かべて「美味しい!」と一言。それから1口、また1口食べる度に「美味しい」っちゅうとる。
その様子を飯食うときに「生きてて良かった」みたいな顔する双子の片割れと似通っていて。複雑な思いんなりながら、でもその表情を飽きずに眺めとった。
*何を勘違いしたのか、春高一次予選をIHと混同していました!修正しました…!すみません!
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あろま(プロフ) - きのこりさん» 分かりずらくてすみませんでした。ありがとうございます!これからも頑張ります! (2020年4月17日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - きのこりさん» ご指摘ありがとうございます!ここなのですが、夢主が侑が何故自分を誘うのか分からず、「普通なら治くんを誘うのでは?もしかして治くんが映画が嫌いなのかな?」と思って「治くん映画嫌いなの?(だから治くんじゃくて私を誘うの?)」という意味合いで聞いています! (2020年4月17日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
きのこり - ページ36の虫除けで、夢主が「治くん映画〜」てあったんですが、侑くんの話なので、侑くんじゃないでしょうか……。最近この話を知りました。とても楽しく読ませていただいてます。これからも頑張ってください。 (2020年4月16日 22時) (レス) id: b4f9762f22 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - アオさん» やー!本当に申し訳ないです!!確認して直しました!指摘ありがとうございます! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - あの、以前私が治くん視点なのを侑くん視点と勘違いした話なのですが、夢主の呼び方が「佐原」だったので勘違いしたので、直した方がいいと思います。今更ですみません。 (2020年3月14日 22時) (レス) id: eee0ca23b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あろま | 作成日時:2020年2月19日 23時