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赤黒い靄となった鬼の身体が、開け放たれた障子から空気の流れに乗って消えていく。
尻もちをつき、着物の肌けただらしない姿のAは、未だに起きたことが信じられないようだった。
(…その格好は些か目のやり場に困るなァ)
帯を無くした着物は身体の形に沿ってただの布と化す。
くっきりと滑らかな身体の線が現れていることにAは気づかないのだろうが、またその無防備なところに俺は頭を抱えそうになった。
「…着てろォ」
直ぐに羽織を脱いで顔を逸らして渡すと「あっ…」と気づいたように声を漏らして上着を着たようだ。
包帯を隊服から出して、帯替わりにぐるぐると巻き付けた。その間Aがほんのり頬を染めて恥じらうものだから、まともに顔が見られなかった。
「…あの、助けて頂き、ありがとうございました」
「…なんで今日俺に言わなかった」
その謝罪に一気に意識がふと戻された。そう問うと、Aはわかりやすく身体を震わせた。そうして俺の表情をじっと見つめていたが、怒っていることに気づいたのか口を開いた。
「…あの鬼は、古来より町を支配していました。
鬼の中でもかなり強いと言われていました。ですから…、私は、私は…不死川様を」
「"危険な目に合わせたくなかった"ってかァ？」
静かな声で言葉の続きを口にすると、Aは言葉を失って唇を真一文字に結んだ。
「抜かしてんじゃねェ。俺を誰だと思ってる？
柱だ。鬼殺隊の中で上位だ。俺が倒さなくてだれが殺るんだよ」
ほんの少し、感情に任せて口調を強くするとAは顔を俯かせてしまった。時折す、すと鼻を啜る音がするから泣きそうなのだろう。
責めているわけではなかった。ただ、怒っていた。
助けを求めなかったAに。Aの悩みに気づけなかった自らに。
「…それになァ、好いた女にそんなこと言われて格好つかねェだろォ」
ため息をつきながら言うも、鈍感なAは首を傾げる。
(いい加減焦れってェ。もう考えるのは無しだ)
俺はAの手の甲にそっと手を添えて、目を見つめた。
「お前のことを危険な目に合わせたくねェ。つまり…そういう事だァ。Aが…好きなんだよォ」
そう、やっと想いを伝えるとAはかぁあっと顔を真っ赤に染めてしまった。
「どうなんだよォ」と聞くと、涙ぐみながら「私もです」と微笑むのであった。
猩猩木：幸福を祈る、清純、祝福
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あろま(プロフ) - 謎の桃さん» コメントありがとうございます！好きと言って頂けて嬉しいです！続編の方も是非ごらんください！ (2020年1月5日 17時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
謎の桃 - ぐっ…好きです…（死 (2020年1月3日 11時) (レス) id: 54222cb971 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - あろまさん» 分かりました。大丈夫です。 (2019年11月1日 9時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 零奈さん» リクエストありがとうございます！実弥ですね！実弥らしいお話ですね…！精一杯書きます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 美桜さん» リクエストありがとうございます！煉獄さんのリクエスト嬉しいです！ですがすみません、夢主が柱という設定を普通の一般隊士にしたいです。ご了承ください…！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年9月25日 17時
