白椿:時透無一郎 ページ14
ほら、君は僕の傍で笑っていればいいんだ
「時透様、お洗濯が終わりました」
縁側で寛いでいる時透様の後ろに正座をして伝えると時透様は白い頬をぷくっと膨らませた。
「何なの君」
「えっ、あ、何か私はしてしまったのですか…!?」
柱の機嫌を損ねる事などあってはならない。常に頭の中に置いておいた事だが、どうやら気に触る事をしてしまったらしい。
尚更私の言葉に時透様ははぁとため息をつくととんとん、と自分の横を叩いた。此方にこい、ということなのだろう。
時透様の横に座るなんて、と思いつつ恐る恐る座ると、時透様はずい、と顔を近づけた。
「いつまで様付けするの?僕のこと」
「…へ」
予想外の言葉に呆然としてしまう。余程間の抜けた阿呆らしい顔をしているだろう私に時透様は顔を逸らした。
「今この瞬間から様付けしたら怒るから。Aクビにするから」
「えっ、ええ、でもそんな恐れ多いです…!」
「Aは柱の言うことが聞けないの?」
じっ、と深い青色の瞳が見つめる。有無を言わせぬ台詞と圧力に私は口を噤んだ。
「と、ときとう…さん?」
「…」
試しに呼んでみるも、時透様…否、時透さんは無反応だ。
「ときとう、くん?」
「…」
まだ無反応だ。彼処を向いた彼の表情を見ることは叶わない。
「で、では…、む、無一郎…さん?」
「…」
これ以上、これ以上呼んでいいのか、と自分の中の警鐘が鳴り響いている。
「…む、むい、ちろう、くん」
恐る恐る名前を呼ぶと無一郎くんは此方に顔を向けた。
「…まぁ、いいんじゃない」
やっと向いてくれた無一郎くんは満足そうに笑っていた。その笑顔が嬉しくて思わず頬を緩めると無一郎くんは顔を寄せて──────。
ちゅ、と私の頬に接吻をした。
「…っ!」
「ふ、可愛いね。真っ赤な顔気に入った」
無一郎くんは年齢特有の悪戯な笑顔を浮かべると上機嫌に屋敷を出て行った。
「な、な…」
初めての男性からの接吻に、私は暫くその場から動けず。
正座をしていた足だけでなく、心臓までも痺れるような感覚を覚えていた。
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あろま(プロフ) - 謎の桃さん» コメントありがとうございます!好きと言って頂けて嬉しいです!続編の方も是非ごらんください! (2020年1月5日 17時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
謎の桃 - ぐっ…好きです…(死 (2020年1月3日 11時) (レス) id: 54222cb971 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - あろまさん» 分かりました。大丈夫です。 (2019年11月1日 9時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 零奈さん» リクエストありがとうございます!実弥ですね!実弥らしいお話ですね…!精一杯書きます! (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 美桜さん» リクエストありがとうございます!煉獄さんのリクエスト嬉しいです!ですがすみません、夢主が柱という設定を普通の一般隊士にしたいです。ご了承ください…! (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あろま | 作成日時:2019年9月25日 17時