***【後半流血表現注意です!】 ページ34
「なんか芳しい匂いがするなぁ〜と思ったら!」
ある日、知らない男が現れた。虹色の目を持った、やけに"柔和な"笑顔を浮かべた男が。
「いやはや、黒死牟殿が真逆まさか、生娘をこんな奥の部屋に隠していたとは!」
驚きだなぁ、と男は呟きながらジリジリと滲みよってくる。
「貴女誰なの…?」
「あぁ!初めまして、俺は童磨。君可愛いね、黒死牟殿は君みたいな女の子が好みなのかな」
軽口を叩くこの男はどうやら黒死牟と知り合いらしい。やけに友好的だが、黒死牟の知人であるという事は裏を返せば"人間ではない"という事だ。
逃げなくては、と立ち上がろうとする私の肩を、男は笑顔のまま強く掴むとぐっと顔を近づけてきた。
「ねぇねぇ君。すっごく"美味しそう"だね。食べてもいいかな?」
一瞬呼吸が止まってひゅっと口から空気が零れた。カタカタと小刻みに震える私に構わず男は言葉を続ける。
「んー…、見たところ君20歳前後だろう?今が一番食べ時なんだよな…。若い時が柔らかくて脂肪も少なくて美味しいんだよ」
震える私の手を取って、男はまじまじと見つめながら呟く。黒死牟に感じた恐怖とは異なる、喰われるという恐怖。
「ね、指先だけでもッ──────」
その刹那。
首が跳んだ。
ごどん、と男の首が壁に当たって目の前に転がる。
鮮血が首から溢れ、ピシャリと頬に飛び散った。「きゃぁああ!!」と口から自分のものではないような叫びが飛び出して力が抜ける。首なし男から目を離すことが出来ずへなへなと壁に寄りかかる私に、影が落ちる。
「Aから…、離れろ…」
そこには"鬼"がいた。禍々しい血に濡れた刀を手にし、立ちはだかる化け物の姿。
六つの目は見たことも無いほど殺意に満ちており、目が合った途端に魂を抜かれそうだ。
何も口から発する事が出来ず、呆然としていると首なし男の首がメキメキと生えてきたではないか。
「私は今憤慨している…、どういうつもりだ童磨…」
「黒死牟殿!いやぁ、ちょっとした好奇心だぜ!そんなに怒らないでくれよ」
先程までへらへらとした笑みを浮かべていた童磨と名乗る男であったが、今は若干の焦りが見える。
「失せろ、今すぐにだ」
覇気の篭った言葉に、部屋中の空気が微かにふるえた。
童磨は懲りずに「じゃあね」と私に手を振ると風のように消えていった。
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あろま(プロフ) - 謎の桃さん» コメントありがとうございます!好きと言って頂けて嬉しいです!続編の方も是非ごらんください! (2020年1月5日 17時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
謎の桃 - ぐっ…好きです…(死 (2020年1月3日 11時) (レス) id: 54222cb971 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - あろまさん» 分かりました。大丈夫です。 (2019年11月1日 9時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 零奈さん» リクエストありがとうございます!実弥ですね!実弥らしいお話ですね…!精一杯書きます! (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 美桜さん» リクエストありがとうございます!煉獄さんのリクエスト嬉しいです!ですがすみません、夢主が柱という設定を普通の一般隊士にしたいです。ご了承ください…! (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あろま | 作成日時:2019年9月25日 17時