浜木綿：我妻善逸 ページ28
＊完全なるifストーリーです。作者の妄想と独断と偏見が作品の抗生物質です。
「何処に行った！？出てこい我妻！！」
屋敷の中を駆け回る足音と、怒号が響き渡る。善逸はその緊迫感の張り詰めた部屋の中で腕の中に収める彼女を見つめる。
「怖がらなくていいよ、俺がついてるからね」
昔の禰豆子が竹を噛んでいた様に、猿轡をする鬼のAは震えた様子で何度もこくこくと頷いた。
鬼殺隊に入隊し、みごと一昨年鳴柱となった善逸は今世紀最大の危機を迎えていた。
今、本部では我妻善逸に切腹命令が下っている。
よって見つかれば鬼殺隊員に捕まり、大勢の前では腹を切って首を跳ねられ、無残な死を遂げるというわけであるが、善逸は聴覚の鋭さを発揮して1週間逃げ延び続けているのだ。
「ん、ん」
とん、とんとAが善逸の胸を叩く。これは猿轡を外して欲しい時の合図だ。その瞳が血肉に飢えた獣の目ではなく、切実な思いを押し殺した人間の目だった。
丁寧に猿轡を外すと、Aはすぅと息を吸ってから口を一瞬迷わせた。それでも今の彼女にはただ一つであったらしい。久しぶりに出した声は震えていて、
「善逸、もう、辞めよう」
声変わりしたんだっけ、と忘れかけた彼女の低めの台詞が心だけでなく脳裏も揺らした。
「私たち、結ばれるべきじゃない。そんなこと、あっちゃいけないんだよ」
納得しない善逸が眉を歪ませるのをきちんとAは見つめていた。突然の吐き気に襲われて口を押さえてから顔を上げる。
「私はもう人じゃない。だって、だってあのとき──────」
あのとき、私は人を。どうして──────喰らってしまったのだろう。
そうこの間の悲劇を思い出して罪を嘆くと、善逸は言葉を失ってぎゅう、とAを包み込んだ。
炭治郎の妹、鬼と化した禰豆子がどうして斬首を免れたのか。
──────それは彼女が"人を1度も喰らわなかった"からである。
その前提があって、禰豆子は人を襲わない鬼として認められたのだ。
しかし、Aはそうでは無かった。鬼にされ、飢餓状態に陥ったときに理性も忘れて1人の人間を食べてしまったのだ。
今まで隠していたその事が、今になって鬼殺隊に暴かれてしまった。
そんな"危険な"彼女を連れている為に善逸は切腹の処罰が下されたのだ。
「ぜん、いつ。お願い、私の首を、跳ねて」
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あろま(プロフ) - 謎の桃さん» コメントありがとうございます！好きと言って頂けて嬉しいです！続編の方も是非ごらんください！ (2020年1月5日 17時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
謎の桃 - ぐっ…好きです…（死 (2020年1月3日 11時) (レス) id: 54222cb971 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - あろまさん» 分かりました。大丈夫です。 (2019年11月1日 9時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 零奈さん» リクエストありがとうございます！実弥ですね！実弥らしいお話ですね…！精一杯書きます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 美桜さん» リクエストありがとうございます！煉獄さんのリクエスト嬉しいです！ですがすみません、夢主が柱という設定を普通の一般隊士にしたいです。ご了承ください…！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年9月25日 17時
