あっかんべー ページ8
「あっ、鶏肉ある…」
なにを作ろうか、と考えてメニューがピコン、と思い浮かぶ。確認しすると片栗粉も小麦粉も油もあった。お米も発見し、気分上々だ。
「うん、夕飯これにしよう」
美味しく出来るかな、なんて考えてふわふわ身体が浮き始めた。やっぱり私は料理が好きだ。
ぷかぷか浮いていると、ふと床のゴミに目がいった。よくよく見れば隅に埃が溜まっている。
(…掃除、してる暇ないんだろうなぁ)
うーんと考えているうちに私は地面に降り立つった。
思い立ったが吉日。掃除機探しの旅に出る。広すぎる家の中を周っているうちに物置を発見し、その中から見事掃除機を発掘した。
よくCMに出てくる大手メーカーの掃除機だ…。吸い心地よさそう、なんて思いながらコンセントをさしてスイッチを押す。
静かな音を立てて掃除機が動き出す。まるでペットをリードで散歩するように掃除機を連れてダイニングキッチンを回る。
埃が掃除機に吸われていく様子を、不思議な程静かな気持ちで見つめていた。
(…心の中の嫌な気持ちも、掃除機みたいに吸えたらいいのに)
きっと、私の心には"負の感情"というゴミが溜まりに溜まっているんだ。
掃除機ですいすい、あっという間に吸われていく塵芥がほんの少しだけ羨ましく思えてしまう。
後から後から埃を発見し、気づけばホークスの部屋を覗く全部屋を掃除していた。
「掃除って、楽しい…！」
こんなことを言っているあたり、私は根っからの主婦気質なんだろう。絶対将来いいお嫁さんになってやったのに。
こんないい女手放して馬鹿なヤツ、なんて心の中で元彼にあっかんべーをした。
それからシンクや洗面台などの水周りから鏡、棚の上の埃を綺麗にしているとピコン、とスマホが音を鳴らした。
嫌な予感がして、恐る恐る見れば元彼からのメッセージだった。
『荷物、取りに来ないのか』
──────全く、なんて奴だ。
謝ることもしないで、荷物を取りに来い、だなんて。
私は自分の中の負の感情が湧き上がるのを感じた。身体がどんどん重くなっていくのがわかる。
(いけない、床は大理石。割ったら首が…首が飛ぶ)
それだけは避けたい。そんな思いでぐっと怒りを堪えてメッセージを送った。
『今から指定する場所まで持ってこれるだけ持ってきて』
このくらいいいだろ。とまたスマホ画面に舌を出した。
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花帆 - 一気に読ませて頂きました！お互い一途な夢主さんとホークスにずっとドキドキして面白かったです！！ チャートも面白かったです♪ 続編も楽しみにしております(*´ω｀*) (2020年4月26日 4時) (
レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 鈩さん» コメントありがとうございます！いえ、私こそ遅くなってすみません…！そんな細かいところまで褒めて頂けて光栄です…！こちらこそ読んでくださりありがとうございました！ (2020年3月28日 23時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈩 - 完結＆続編おめでとうございます！(遅れてすみません…)文章や、単語一句一句にドキドキしてしまいました…！素敵な作品ありがとうございます！ (2020年3月11日 0時) (レス) id: 4f2f6e9221 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - くろかはさん» コメントありがとうございます！私自身実は夢主の個性気に入ってます(笑)浮き沈みするの可愛いですよね！とてもコメント嬉しかったです！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - 主人公の個性がなんとも言えず可愛らしい…(すき) (2020年3月4日 20時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年10月22日 15時
