"独占欲の印" ページ42
「A」と私の名前を呼ぶ啓悟の声が低くて艶めいていて、肩が震えた。
心臓が爆発してしまいそうな程高鳴っている。全身熱くて、辞めて欲しいのに本能は正直で、私の身体は少しでもこの先を期待して浮こうとしてしまう。
そんな私をソファに押し付けて「身体浮きそうだね、期待してるんでしょ」と嬉しそうに笑う啓悟の胸元で、手製のネックレスがしゃらり、揺れる。
図星でかぁあと頬を赤くして「意地悪」と罵る私に啓悟はどこ吹く風。「可愛い子程虐めたくなるもんだよ」と啓悟は先程とは打って変わった悪戯な笑みを浮かべた。
私の頬をつんつんと押して「ばり好いとうよ」なんて笑う啓悟に嬉しくて身体が更に軽くなる。それに反してぐっ、と身体を押さえつけると啓悟は首をかしげた。
「…キスしていい？」
「えっ」
驚きで身体が一瞬重くなってまた軽くなる。許可を待たずに啓悟が顔を近づけてくるものだから私はむぎゅ、と彼の口を押さえた。
「はひすんほ(なにすんの)」
「えっ、ちょ、その、き、きすは早いんじゃ…」
まだ付き合って二日目だし。と赤くなる私に啓悟は「えー」と不服気な顔をする。
「誕生日だからAとキスしたいんだけど」
「私もしたい、けど…。早いし、あと…」
ぶーと頬を子供みたいに膨らませる啓悟に笑みを漏らしつつ目を逸らした。私の心境を察しながらも「あと？」と啓悟は問いかける。
「ちょっと、まだ自信なくて」
ごめんね、ネガティブで重くて。と謝ると啓悟は目を丸くしてからふ、と呆れたように笑う。
「あー…、そうだ。うん、そうそう
言ってなかったね」
啓悟は少し考える素振りを見せてから納得したように頷いた。そしてバツの悪い私に「A」と見つめて切り出した。
「言ってなかったけど、俺の方が重いよ？」
「……え？」
「いやほんと、ほんとに。ずっと重いよ、Aより」
啓悟はそう言うと先程外した、彼がクリスマスに贈ってくれたバレッタを見えるように上げて「このバレッタさ」
「俺の翼に似てると思って贈ったんだけど…、つまり、そういうこと」
先程まで軽い調子だった彼はどこへ。また熱情に満ちた瞳で私を見つめた。
翼のように見える赤いリポンのバレッタ。そんな、自分を感じさせるものを身につけさせるなんて、まるで…。
「…っ、ぇ、…？」
「"独占欲の印"」
はは、気づくの遅すぎ。なんて笑う顔は本気だ。
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花帆 - 一気に読ませて頂きました！お互い一途な夢主さんとホークスにずっとドキドキして面白かったです！！ チャートも面白かったです♪ 続編も楽しみにしております(*´ω｀*) (2020年4月26日 4時) (
レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 鈩さん» コメントありがとうございます！いえ、私こそ遅くなってすみません…！そんな細かいところまで褒めて頂けて光栄です…！こちらこそ読んでくださりありがとうございました！ (2020年3月28日 23時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈩 - 完結＆続編おめでとうございます！(遅れてすみません…)文章や、単語一句一句にドキドキしてしまいました…！素敵な作品ありがとうございます！ (2020年3月11日 0時) (レス) id: 4f2f6e9221 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - くろかはさん» コメントありがとうございます！私自身実は夢主の個性気に入ってます(笑)浮き沈みするの可愛いですよね！とてもコメント嬉しかったです！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - 主人公の個性がなんとも言えず可愛らしい…(すき) (2020年3月4日 20時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年10月22日 15時
