獲物 ページ41
付き合ってまだ二日目。未だにあの日の出来事が夢のようでふわふわ浮いている私に構わず、啓悟は人が変わったように甘えるようになった。
2人で暮らすこのマンションには"速すぎる男"と呼ばれる彼は全く存在しなくて、ゆっくりご飯食べて、今日あった他愛もない出来事の話をして。なんて事ない、1人の恋人だ。
…ううん、やっぱり前言撤回。ここでも彼は速すぎる。
「あー、本当疲れたなー。風呂入るのも面倒くさい」
「ほら、早く入っちゃえば休めるでしょ」
「…Aが一緒に入ってくれるって言うなら今すぐ入るんだけどなー」
「へっ」
「はは、ジョーダン」
本気にして頬を染め、驚いた衝撃で少しぷかりと浮いた私にからから笑って啓悟は呟く。
「…なーんてね」
獲物を狙う鷹のような瞳をした彼の表情にぼっ、とさらに顔が赤くなってふわりと浮くと、「待ってて」とお風呂場へ向かった。
落ち着かない気持ちで啓悟がお風呂から上がるのを待っているとガラリと洗面所の戸が開いた。
水の重さに耐えきれず前に垂れた髪の毛をかきあげ、啓悟がやってくる。
その衝撃で飛び散る水滴と、彼の濡れた喉仏を見つめていると、ふとした彼の眼差しと目が合う。その瞬間す、と瞳が細められて、喉仏がほんの少し動いて私は思わず目を逸らした。
「あ、わ、私、じゃあ、入ってくるね」
此方へやってくる啓悟の瞳からなんとか逃れようと立ち上がった途端、ドサリとのしかかってきた啓悟に押されてソファへ逆戻りする。
反動でクッションが落ちて、衣擦れの音がしたかと思えば、水滴がポタリと頬に落ちた。目を開ければ天井の照明を背にして啓悟が私を見下ろしている。
「け、けいご」
「何逃げようとしてるの」
「いい子で待ってたんでしょ？」と囁く声は熱っぽくて、胸がきゅっと締め付けられる。
「ね、期待、してなかったのなんて」
嘘だよね、と啓悟がす、と頬に手を寄せて囁いた。あまりにも低くて、その声が期待と熱情孕んでいて、自然と「…っ」と息が漏れる。
一瞬のそれも見逃さず、啓悟はゆっくりと頬を撫でた。その指先があまりにも熱くて、手つきが優しさと、ほんの少しのいやらしさを含んでいて身体の奥が痺れそうだ。
「けーご、それ、や」
「…それ、煽ってるだけだから」
啓悟は私の頭の下に手を入れると、器用に片手でパチリとリボンのバレッタを外した。
しゅるり、纏まっていた髪の毛が白いシーツの上に流れた。
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花帆 - 一気に読ませて頂きました！お互い一途な夢主さんとホークスにずっとドキドキして面白かったです！！ チャートも面白かったです♪ 続編も楽しみにしております(*´ω｀*) (2020年4月26日 4時) (
レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 鈩さん» コメントありがとうございます！いえ、私こそ遅くなってすみません…！そんな細かいところまで褒めて頂けて光栄です…！こちらこそ読んでくださりありがとうございました！ (2020年3月28日 23時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈩 - 完結＆続編おめでとうございます！(遅れてすみません…)文章や、単語一句一句にドキドキしてしまいました…！素敵な作品ありがとうございます！ (2020年3月11日 0時) (レス) id: 4f2f6e9221 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - くろかはさん» コメントありがとうございます！私自身実は夢主の個性気に入ってます(笑)浮き沈みするの可愛いですよね！とてもコメント嬉しかったです！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - 主人公の個性がなんとも言えず可愛らしい…(すき) (2020年3月4日 20時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年10月22日 15時
