魔法が解ける、その前に ページ36
どれだけ眠っていたのか。物音で目を覚ますとツクヨミが目を丸くして此方を見つめていた。
「ホークス…！」
「…ツクヨミ、今何時？」
そうだ、状況を理解した。多大なる迷惑敵をやっとの事で捕まえた後、寝不足と疲労で俺は寝入ってしまっていた。
眠る前はカーテンから光が漏れていたのに、今は一切の闇だ。
「23時12分ですが」
「えっ…、マジ？」
信じられなくて思わずスマホを開いた。人工的な光に目を細めつつ見れば13分になっていて。
「…やば、俺帰る」
慌ててスマホをポケットに突っ込んで仮眠室を飛び出し、翼を広げる俺にツクヨミは慌てた様子だ。
「ホークス、その翼では飛べないだろう」
「…いや、飛べる」
寝ている間に多少羽根が戻ってきたが、ツクヨミの言う通り羽数は少ない。
──────でも、決めた。
「今日だけは"飛ばないと"いけないから」
屹度羽根は俺の気持ちを汲んで戻ってきてくれる。なんとか翼を動かしながら俺は夜の街へ飛び出した。
あれじゃないこれじゃないと、試行錯誤してラッピングしたプレゼントを、ぎゅうっと抱き締める。
布団を何枚も重ねて、その上に座る私は布団に埋もれるくらいに重くなっていた。
「…分かってたのに」
彼は文字通りの"特別"な存在。多忙で、皆のヒーロー。
最初は同居出来ているだけで幸せだった。軽口叩きながらも私の心中を読み取って、心の傷を掘り返さないように。
それなのに、段々私は欲張りになってしまった。まるでサンタさんに欲しいものをお願いして、強請る子供のように。
「渡せないなぁ」
はは、とから笑が漏れた。元々これを渡すのは少し躊躇いがあったから、少し安堵したような、残念なような。
淡い期待を持ち続けたけれど、もう時刻は23時48分。12時の鐘の音と共に、クリスマスは消えていく。明日になればツリーもオーナメントも消えて、なんでもなかったような日々に戻る。
魔法が解ける、その前に
「けーごにきてほしかったなぁ」
屹度もう、私は貴方が来てくれたら飛べていた。天井より高く、空に登るくらい浮かべるよ。
貴方と一緒にいる口実が無くなっても、それでもクリスマスを一緒に過ごしたかった。
プレゼントを手放してモゾり、布団から起き上がる。何処かすっきりした気分になって、もう身体は普通だ。
リビングの電気を消そうと部屋を出た途端、ガチャ、と──────ベランダの扉が開いた。
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花帆 - 一気に読ませて頂きました！お互い一途な夢主さんとホークスにずっとドキドキして面白かったです！！ チャートも面白かったです♪ 続編も楽しみにしております(*´ω｀*) (2020年4月26日 4時) (
レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 鈩さん» コメントありがとうございます！いえ、私こそ遅くなってすみません…！そんな細かいところまで褒めて頂けて光栄です…！こちらこそ読んでくださりありがとうございました！ (2020年3月28日 23時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈩 - 完結＆続編おめでとうございます！(遅れてすみません…)文章や、単語一句一句にドキドキしてしまいました…！素敵な作品ありがとうございます！ (2020年3月11日 0時) (レス) id: 4f2f6e9221 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - くろかはさん» コメントありがとうございます！私自身実は夢主の個性気に入ってます(笑)浮き沈みするの可愛いですよね！とてもコメント嬉しかったです！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - 主人公の個性がなんとも言えず可愛らしい…(すき) (2020年3月4日 20時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年10月22日 15時
