空へ飛ぶ ページ4
「…っそれにしたって、見ず知らずの私なんか…」
どんどん悪い方向に考えが進んでいって浮いていた身体がどんどん沈んでいく。
ホークスは緩んだ口元を片手で覆いながら…しかし全く笑みを隠せていない状態でその様子を見ていた。
「もう見ず知らずではないと思うなー。只今絶賛彼氏に浮気されて落ち込み中だっていうのは分かったし」
この男、矢張り駄目だ。
口が悪すぎる。口が悪いというのは言葉遣いという訳ではなく、傷つくような事を無遠慮に次々と言うのだ。
心の中に土足で上がり込んで来るどころか、人の心の中で自由に飛んで、踊るような、そんなタイプ。
全国のホークスファンに言いたい。この人のファン辞めた方がいいです。
「飄々と傷口に塩を塗るのね…。ていうか、揶揄ってるんでしょう？ホークスみたいな男の人は、私なんか…」
自分で掘り進めてしまった穴にまた入る程沈んでしまう。あぁ、また服が汚れる…。もう手遅れだけれども。
「だから言ったじゃないですか、尽くしてくれる女の子いいなって」
なんでわかんないかなぁ、と言うようにホークスが口を膨らませる。そんな言葉1つでも、私の身体はまた浮いてしまう。
ホークスといると浮き沈みが激しい。私の心の動揺かもしれないけれど、その原因は明らかに目の前の男だ。
指先まで染み渡るような、冷たい風はいつしか止んでいた。
「──────俺、夢があって」
突然、間を置いてホークスが口を開いた。閉じていた紅の翼を大きく広げて、空に向かって指さした。
「一緒に飛んでくれる女の子、探してるんですよ」
真っ直ぐ夜空を見上げる彼の黄金色の瞳は、微かに光を放つ星々と同じ色をしていた。
横顔があまりに整っていて、すぅ、と吸い込まれるように思わず見つめてしまう。
でも、ホークスが心の中で何を思ってそう言っているのか汲み取ることは出来なかった。
「…私は浮けるだけで、空は飛べないんだけど…」
「浮いてる君の手を、俺が引っ張れば君も飛べるよ？」
ね、楽しそうでしょ？小さな子供を遊びに誘う時のような台詞で、男は私の前にしゃがみ込んだ。
突然、ばん、と硬い地面をグローブで叩く音に肩が跳ねる。
「だからさ、君がそんな地べたじゃなくて」
どんどんどんどん、身体が浮いていく。ホークスの言葉一つで、こんなにも心が浮かぶ。
「──────空に飛んでいけるまで、俺が手助けしてあげる」
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花帆 - 一気に読ませて頂きました！お互い一途な夢主さんとホークスにずっとドキドキして面白かったです！！ チャートも面白かったです♪ 続編も楽しみにしております(*´ω｀*) (2020年4月26日 4時) (
レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 鈩さん» コメントありがとうございます！いえ、私こそ遅くなってすみません…！そんな細かいところまで褒めて頂けて光栄です…！こちらこそ読んでくださりありがとうございました！ (2020年3月28日 23時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈩 - 完結＆続編おめでとうございます！(遅れてすみません…)文章や、単語一句一句にドキドキしてしまいました…！素敵な作品ありがとうございます！ (2020年3月11日 0時) (レス) id: 4f2f6e9221 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - くろかはさん» コメントありがとうございます！私自身実は夢主の個性気に入ってます(笑)浮き沈みするの可愛いですよね！とてもコメント嬉しかったです！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - 主人公の個性がなんとも言えず可愛らしい…(すき) (2020年3月4日 20時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年10月22日 15時
