いやだ ページ30
何かあったら呼んで、と叫んで部屋を飛び出してから数時間。
うんともすんとも言わないホークスに少々不安を覚える。
「そういえばタオル、取り替えて上げなきゃ」
とっくにぬるくなっているだろうタオルを口実に、私はほんの少し緊張しながら部屋へ入った。
ベッドの上のホークスは余程熱いのか自身の翼をバサバサと動かしながら「熱い…」と唸っていた。急いで額のタオルを取るとホークスはむくりと起き上がってパジャマ代わりのロングTシャツを一気に脱いでしまった。その光景に目を丸くしながら口元を押さえる。
「ぎゃ！な、何してんの！？」
「あはは、可愛くない声。…熱くて仕方ないし、汗かいちゃったし」
はぁ、と前髪を搔き上げるホークスはいつぞやの雑誌の特集で見たよりずっと色気がupしていて頭が真っ白になる。いけない、と思いつつ目をやった身体を汗が伝っていく光景が目に毒過ぎた。まるで目が焼かれているような破壊力。
「ふっ、拭く！から！だから拭いたら着てね！風邪ひくし！あれだし！」
「いやもう風邪ひいてるって」
支離滅裂な私の言葉に笑うとホークスは私に背中を向けた。
新しく用意したタオルでそっと汗を拭くと「冷た」なんてホークスが楽しそうに笑う。
近くで目にするホークスの背中に生えている大きな赤い翼。まるで神様が彼にだけ授けた奇跡の印。綺麗だなぁ、なんて思いながら背中を拭いていると、不意に依然お風呂上がりのホークスと遭遇した時のことを思い出した。
『え、なんでそんなに赤くなってんの？彼氏の裸くらい見たことあるでしょ』
何気ないホークスの台詞が途端に頭に反響して、私は息を止める。
(…ホークスは見たこと、あるのかな？)
若い世代の女性に特に大人気で、18人も元カノがいたホークスだ。
初めては結婚が決まってから、なんて面倒くさくて重たい女とは違って、屹度ホークスは経験してる。
(あ、れ…、凄い、嫌だ)
そんな想像したくない光景を想像してしまって、ずん、と身体が重くなる。メキメキと床がなる音に気づいてホークスが「A？」と声を掛けるも、今はその声を聞くのも辛い。
「…もう、いいでしょ？」
今にも泣きだしそうな顔を見られたくなくて俯くとホークスは「え」と混乱した声を漏らす。
「どしたのA」
…あぁ、もう、貴方はそうやってなんでもかんでも気づいてしまう。
伸ばされた手を振り払って顔をあげた時──────涙が零れてしまった。
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花帆 - 一気に読ませて頂きました！お互い一途な夢主さんとホークスにずっとドキドキして面白かったです！！ チャートも面白かったです♪ 続編も楽しみにしております(*´ω｀*) (2020年4月26日 4時) (
レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 鈩さん» コメントありがとうございます！いえ、私こそ遅くなってすみません…！そんな細かいところまで褒めて頂けて光栄です…！こちらこそ読んでくださりありがとうございました！ (2020年3月28日 23時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈩 - 完結＆続編おめでとうございます！(遅れてすみません…)文章や、単語一句一句にドキドキしてしまいました…！素敵な作品ありがとうございます！ (2020年3月11日 0時) (レス) id: 4f2f6e9221 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - くろかはさん» コメントありがとうございます！私自身実は夢主の個性気に入ってます(笑)浮き沈みするの可愛いですよね！とてもコメント嬉しかったです！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - 主人公の個性がなんとも言えず可愛らしい…(すき) (2020年3月4日 20時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年10月22日 15時
