隠す本音、隠せない本音 ページ28
がたん、とベランダの扉が開く音がして私はハッとする。
部屋から飛び出れば「ただいまー」と以前と変わらない笑顔を浮かべたホークスの姿。
「お、おかえり」
思ってもみなかった突然の帰宅に心が動揺する。久しぶりに会えて目尻が熱くなるのを感じていると「お土産」と袋が差し出された。
「肉まんとあんまん、どっちがいい？」
「…肉まん」
「あッ、肉食系女子〜」
ケラケラと笑うホークスに、これまで会えなかった寂しさで涙が零れそうになる。
気を抜いた途端には涙がほろり、瞳から零れていた。
(あ、やだ私、本当に面倒くさい女)
目元を押さえながらぐす、ぐす、と泣いているとホークスが顔を覗き込んだ。
「…もしかして俺がいなくて寂しかった？」
そっとホークスのゴツゴツした手が私の手に触れる。炎が燃えているかのような熱い手に息がきゅっと詰まる。あまりに優しい触れ方と、期待しているかのような台詞に胸が鷲掴みにされる。
「…肉まん、食べたかったから感動してるの」
本当は「寂しかった、会いたかった」って泣きつきたいけど、彼女でない私はそんなこと言う権利も、する権利もないの。
「そんな訳ないでしょ」と強がって笑うと「俺はそう思ってたんだけど」
いつもより静かなホークスの声音に驚いて顔を上げるとホークスが熱を含んだ瞳で見詰めていた。
──────こんな表情、知らない。
不意に思い出されるのは押し倒された時のこと。まるであの時のような…、否、違う。あのときよりずっと本気で、真っ直ぐで、取り込まれてしまいそうな。
「冗談辞めて、揶揄わないで」
「俺は冗談なんか」
そこで言葉を不自然に区切ると、ホークスはふら、とふらついた。反射で抱き留めると身体が異様に熱いことに気づく。
「ホークス、熱あるの！？」
「は、はは、疲労、溜まってたんかな…」
今まで我慢していたのか、途端に息を荒くするホークスの身体を支える。
「サイドキックさんに連絡しておく。治るまで絶対無理しちゃダメだから！」
「分かった、分かった」
あー、だるい。そう言いながらホークスが顔をこちらへ寄せてこつん、と顔と顔がぶつかる。
「A冷たくて丁度いいや」
なんて力なく笑うホークスに、私はなんにも言えなかったし、言いたくなかった。
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花帆 - 一気に読ませて頂きました！お互い一途な夢主さんとホークスにずっとドキドキして面白かったです！！ チャートも面白かったです♪ 続編も楽しみにしております(*´ω｀*) (2020年4月26日 4時) (
レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 鈩さん» コメントありがとうございます！いえ、私こそ遅くなってすみません…！そんな細かいところまで褒めて頂けて光栄です…！こちらこそ読んでくださりありがとうございました！ (2020年3月28日 23時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈩 - 完結＆続編おめでとうございます！(遅れてすみません…)文章や、単語一句一句にドキドキしてしまいました…！素敵な作品ありがとうございます！ (2020年3月11日 0時) (レス) id: 4f2f6e9221 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - くろかはさん» コメントありがとうございます！私自身実は夢主の個性気に入ってます(笑)浮き沈みするの可愛いですよね！とてもコメント嬉しかったです！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - 主人公の個性がなんとも言えず可愛らしい…(すき) (2020年3月4日 20時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年10月22日 15時
