この気持ちは、きっと。 ページ25
ヒュッと空気を斬る音が何度かすると男が壁に磔になっていた。服の裾を確実に剛翼の羽根1枚1枚がまるで釘のように男を壁に打ち付けている。
速すぎる拘束に呆気に取られていると、ホークスは現状把握が出来ていない男に近づく。
コツコツと徐々に近づく足音に、情けなく金魚のように口をはくはくさせる男に対して、酷く冷たい表情を浮かべながら静かな声で囁いた。
「この子の視界から消えろ」
その台詞と同時にホークスの手刀が男の首に打ち込まれた。
男が気絶したのを確認するとホークスは小走りで私に駆け寄り目の前にしゃがみ込んだ。
「ちょっと」
「ひっ、ぁ、うぅ」
恐怖と安堵感でしゃくり上げる私に困ったように頬を掻きながら「泣き虫だなぁ」なんて呟く。
「…っわかった、こわかったぁ」
う、ぇぐと嗚咽を漏らしながら本音を吐き出すと彼は「…もう大丈夫だから。なんにも怖くない、ね？」と頭の土埃を優しく払いながら落ち着かせようしてくれる。
でも、言葉より今は直接的に感じられる安心感が欲しかった。どうしても直にホークスの存在を感じて安心したかった。
「ホークス、今だけ」
ぼす、と思わずホークスに身体を寄せると慌てたように声を漏らす。
「え、ちょ」
「…あったかい、優しい、匂いがする」
同居してすっかりホークスの匂いが心地よくなってしまって自然と微笑みが零れた。
するとホークスは「…そっ、か。それなら良かった」と宙を彷徨わせていた手をそっと、背中に回した。
「俺がいる、俺がいるよ」
まるで恋人への愛の囁きのような、優しく胸に染み渡る囁きに。
私は心がじんわりと満たされていくような感覚を覚えた──────。
『目、離したくないから』
事情聴取の後、帰る際にそんな事を言われてホークスにお姫様抱っこをされて帰るハメになった。
スキャンダルになる可能性があるから帰るときは別ルートで、という絶対のルールがあったのだが、彼が「別にいいよ」と言うのだから仕方がない。
お姫様抱っこをされて帰る中、やけにホークスの事を意識してしまって輝く夜景なんかちっとも目に入らなかった。
ふわり、先程の囁きに身体が浮いてしまいそうになるのを必死に堪えていたのを、ホークスが気づいて居ないことを願いながら。
心のどこかで気づいてほしいと思う気持ちに、私自身が気づいてしまった。
(…私、もしかして)
この気持ちは、きっと。
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花帆 - 一気に読ませて頂きました！お互い一途な夢主さんとホークスにずっとドキドキして面白かったです！！ チャートも面白かったです♪ 続編も楽しみにしております(*´ω｀*) (2020年4月26日 4時) (
レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 鈩さん» コメントありがとうございます！いえ、私こそ遅くなってすみません…！そんな細かいところまで褒めて頂けて光栄です…！こちらこそ読んでくださりありがとうございました！ (2020年3月28日 23時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈩 - 完結＆続編おめでとうございます！(遅れてすみません…)文章や、単語一句一句にドキドキしてしまいました…！素敵な作品ありがとうございます！ (2020年3月11日 0時) (レス) id: 4f2f6e9221 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - くろかはさん» コメントありがとうございます！私自身実は夢主の個性気に入ってます(笑)浮き沈みするの可愛いですよね！とてもコメント嬉しかったです！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - 主人公の個性がなんとも言えず可愛らしい…(すき) (2020年3月4日 20時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年10月22日 15時
