助け ページ24
「…っ離せよっ！」
そう叫ぶと男は懐から取り出した刃物で私の腕を切りつけた。
浅いが傷つき、思わず呻いた途端男は私を突き飛ばす。
「なんだよ…折角、折角優しくしてやろうと思ったのに…」
ブツブツ何かを口にしながらゆっくりと身体を起こす男に、それまで勇敢だった私の心は怯えて縮んでいく。逃げなくては、と本能的に危機を感じて私は身をよじった。
「生意気な女だな…、まぁいいさ。調教しがいがある」
舌舐めずりをしながら寄ってくる男に背筋に悪寒が走り、無我夢中で私は放り出されたバッグに手を伸ばす。
電話をかけてる暇なんかない、とスマホを放って見つけたのはホークスの赤い羽根だった。
『困ったらその羽根ぎゅっと握りしめて、名前呼んで。すぐ飛んでいくから』
あの時のホークスの言葉が頭に響く。自信ありげでちょっとムカつくような、でも優しい笑顔が脳裏に浮かぶ。
「──────助けて、ホークス…！！」
ぎゅっと羽を抱き締めて名前を叫ぶ──────だが、自分の声が路地裏に反響するだけ。
「は？ホークス？そんなトップヒーローがお前なんか助けに来るはずないだろ」
「来る！来る！だって言った。私に言った。すぐ、飛んでいくって…！」
ねぇホークス。浮気されてから私、男なんか信じられないって思ってた。
信じちゃダメだって。信じた分裏切られるって。
おかしいと思う。羽根を握りしめて名前を呼べばすぐに来てくれるなんて。
──────それでも、それでも、貴方の言葉に嘘はないって信じたくて。
貴方自身のこと、信じたいって、心から思ったの。
だから、助けて、どうか。
「ねーオニーサン。そんな危ないものその子に突きつけて何してんの？」
やけに軽い声が上から響いた。三週間ほど前の公園での出来事が思い出される。
「なっ」
「離れなよ、早く」
バサ、と私を後ろに庇うように目の前に舞い降りるとホークスは大きく翼を広げた。
──────あぁ、私の、ヒーロー。
ほろりほろり、安堵と嬉しさで涙が静かに溢れ出す。
突然のトップヒーローの登場に男は「嘘だろ…、くっそ！」とあからさまに動揺している。
「退けよ！邪魔するなぁ！！」
ナイフを振り上げる男にホークスはすっと目を細めて呟いた。
「──────俺さ、今機嫌悪いんだよね」
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花帆 - 一気に読ませて頂きました！お互い一途な夢主さんとホークスにずっとドキドキして面白かったです！！ チャートも面白かったです♪ 続編も楽しみにしております(*´ω｀*) (2020年4月26日 4時) (
レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 鈩さん» コメントありがとうございます！いえ、私こそ遅くなってすみません…！そんな細かいところまで褒めて頂けて光栄です…！こちらこそ読んでくださりありがとうございました！ (2020年3月28日 23時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈩 - 完結＆続編おめでとうございます！(遅れてすみません…)文章や、単語一句一句にドキドキしてしまいました…！素敵な作品ありがとうございます！ (2020年3月11日 0時) (レス) id: 4f2f6e9221 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - くろかはさん» コメントありがとうございます！私自身実は夢主の個性気に入ってます(笑)浮き沈みするの可愛いですよね！とてもコメント嬉しかったです！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - 主人公の個性がなんとも言えず可愛らしい…(すき) (2020年3月4日 20時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年10月22日 15時
