少女漫画的展開 ページ3
ひゅう、と冷たい風が通り抜ける。けれどその風は決して身を凍らせるようなものではなくて、どことなく頬を掠めるような、曖昧な風だ。
「ホークス…」
「やっぱり気づいて無かったの！あっはは、君面白いや」
ぷかぷか浮いている私を見つめてからからと笑う。本物だ。今日もインタビューを受けてテレビに出ていた彼が、テレビの中と同じ顔で笑っている。
声も出ない私を他所にひとしきり笑い終えたホークスは私のぼけっとした阿呆面を見て"にへら"っと笑った。
「なに、浮いてるってことはさっきの言葉嬉しかったの？」
さっきの言葉──────ホークスの言葉に、先程のやり取りを思い返す。会話をどんどん遡り、あれ次は…と、頭をフル回転させ。
『俺は好きだな、尽くしてくれる女の子』
…思い出した。
その台詞が同じ声音で脳内再生されて私は羞恥に顔を赤らめた。恥ずかしくなってまた身体が重くなっていく。
「図星かぁ。君嘘つけないねぇ」
「…っ、か、からかわないで…！」
顔を覆う私にまた愉快そうな笑みを浮かべるとホークスはぴょんとベンチから立ち上がってくるり、目の前で一回転する。
「君さえよければだけどさー」
軽やかに舞って、私の正面で止まるとまるで"いい事思いついた" というような顔をして。
「俺と、付き合ってみる?」
ロマンチックの欠片もない、理由も何も無い告白に体重がぐん、と重くなる。そんな私の様子に「あらら」とホークスは困ったように眉を下げた。
…いやいやいやいや。なにこれ。何この展開。
まるで少女漫画。よくある展開。振られて落ち込んでる女の子に男の子が「俺にしない？」みたいな。
いやでもそれを初対面の人に言うか、あほちん。
「は…、ホークス、貴方何言ってるかわかってる？」
あまりの驚きに声が張ってしまった。聞こえる程心臓が早鐘を打っているのがわかる。
「んー…、ていうかどっちにしろ君、帰る家ないでしょ？
今から何処かホテル取ってもいいけど、明日は？明後日はどうやって過ごすの？」
ホークスの矢継ぎ早な言葉が矢となって刺さってくる。もはやこれは剛翼だ。精神的攻撃も出来るとは侮れないやつめ。
そんな事を心の中で呟くも、現実の私は動揺していた。まるで脳味噌をゆさゆさと不躾に揺すられているような、そんな感覚。
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花帆 - 一気に読ませて頂きました！お互い一途な夢主さんとホークスにずっとドキドキして面白かったです！！ チャートも面白かったです♪ 続編も楽しみにしております(*´ω｀*) (2020年4月26日 4時) (
レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 鈩さん» コメントありがとうございます！いえ、私こそ遅くなってすみません…！そんな細かいところまで褒めて頂けて光栄です…！こちらこそ読んでくださりありがとうございました！ (2020年3月28日 23時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈩 - 完結＆続編おめでとうございます！(遅れてすみません…)文章や、単語一句一句にドキドキしてしまいました…！素敵な作品ありがとうございます！ (2020年3月11日 0時) (レス) id: 4f2f6e9221 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - くろかはさん» コメントありがとうございます！私自身実は夢主の個性気に入ってます(笑)浮き沈みするの可愛いですよね！とてもコメント嬉しかったです！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - 主人公の個性がなんとも言えず可愛らしい…(すき) (2020年3月4日 20時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年10月22日 15時
