＊＊＊ ページ22
──────刹那。
空気を割いたナイフを、俺は捕縛布で抑えていた。
「…俺はそんな馬鹿な男じゃない」
残念だったな、と続けるとAは少しも驚きもせずに「…これじゃあ個性も使えないわ」と腕を降ろした。
「お前…"スコーピオン"だろ」
ヒーロー界じゃ有名人だぞ、とため息をつきながら言うと「仮にも暗殺者なのに、有名になってたのね」とクスクス微笑んだ。
──────そう、此奴はヒーローのみを暗殺する敵・スコーピオン。
どの組織にも属さず、一人で次々と犯罪を重ねる奴ものだから厄介な存在として警察に目をつけられたという訳だ。
そこで警察が抜擢したのは俺。個性の詳細がわからない以上、抹消を持つ俺が相手をするのが適切だと考えたようだ。
個性を発動し続け様子を見ていると、からん、とAの手からナイフが落ちた。
「…私の負け。この状況を打破できるとは思ってないわ」
「なんだ、演技か？」
カマをかけてみるとAは「心配なら捕縛布で縛るなりなんなりすればいい」と目を瞑って腕を差し出してきた。
その華奢な腕を取って拘束しようとすると、呑気にカウンターに肘を乗せてこちらを伺う水色の瞳。
「私、騙されてないわよ」
予想外の言葉。意味が読み取れなくて顔を上げると、それまでずっと絶えず微笑んでいた表情に暗い色が差し掛かっていた。
「…今まで此処に来たのも全部、私の捕獲が目的なんでしょ？」
それとも美人が作るカクテルかしら、と綺麗すぎる微笑みを貼り付けるものだから──────
思わず、縛り付けた先を自分の腕へと縛っていた。
「え…？」
「…まぁお前が言ったのも間違ってはないが、もう1つだな」
酒で熱くなった頭を冷やすように深呼吸をしてから口を開いた。
「好いた女に会うためだ、A」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 260人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あろま(プロフ) - オーバーさん» こちらこそリクエストありがとうございました！お気に召して頂けて光栄です！期待させてしまってすみませんでした…。楽しみにしてらっしゃいましたよね…。なんて優しいんですか…！感謝感激です！頑張ります！ (2019年9月25日 23時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - リクありがとうございます！とても良かったです(´ω`*) ホークスの新作の件は残念でしたが、あろまさんの書く小説が大好きなので、大丈夫です(`ω´)b 執筆お疲れ様でした！！ (2019年9月25日 21時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - オーバーさん» お久しぶりです、オーバーさん！弔くんのお話好きですか…！？嬉しい限りです！鬼滅の方も読んでくださって感激です…！これからも頑張ります！ (2019年9月21日 23時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - お久しぶりです、あろまさん！ 死柄木くんのお話好きです(´艸`) 鬼滅も楽しく読んでます(´ω`*) 更新ファイトです！！ (2019年9月21日 21時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - オーバーさん» リクエストありがとうございます！そうなんです！ついにホークスの新作を書きます！ずっと書きたかったお話なので自分でも楽しみです(笑)アネモネいつか書こうと思っていたので嬉しいです！了解です、荼毘ですね！いつもコメント感謝です！全力で書きます！ (2019年8月26日 11時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あろま
| 作成日時：2019年7月1日 22時
