オンシジューム：ホークス ページ3
遠い昔の記憶。
貴方はまだ生まれたての雛鳥だった。
それが今では、逞しい背中に生やした大きな翼をバッサバサとベランダで動かすものだからこっちははた迷惑だ。
第一、剛翼を使えば鍵なんか幾らでも開くだろうに。わざわざ私に開けさせたいのか。
ふぅ、とため息を吐いて鍵を開けた途端、ガラリと扉を開ける。
ひょっこり顔を出して「遅いよ、冷えちゃったでしょ」って髭の生えた顔をムスッとしても、あんまり可愛くない。
でも。そんな表情を見るだけで胸がきゅっと苦しくなるんだ。
──────あぁ、やっぱり私は、貴方が好きで。
私だけのヒーローでいて欲しかった、そんな言葉を必死に喉から胃袋へと押し込んだ。
そんな心境の私を露知らず、ホークスは私のソファにダイブする。
「はぁー、本当に落ち着く」
上に置いていたうさちゃんのぬいぐるみにぐりぐり頭を寄せて。そんな所は昔のままなのに。
「──────…ホークス」
危ない。彼の名前を呼びそうになってしまった。
それは絶対に駄目。それは私しか知らない秘密の名前だから。
もう貴方は──────じゃないから。
「…もう来ないでって言った」
ポソリ、聞こえるか聞こえないかの声で呟くと、ホークスはばたつかせていた足を止めて。
「うん、言われた」ってぐるりん、仰向けになった状態で私を見つめる。
「ホークスはNo.2ヒーローなんだよ？
駄目だよ、私みたいな一般人の所に来たら…」
ゴシップ記事なんて出た暁には、本屋やコンビニに人が殺到するだろう。
恐らくニュースにもなるだろうし、事務所に電話も鳴り止まないと思う。
本当はこんなこと言いたくない。だけど全部曲げられない事実だから。
好きだから故に、迷惑は掛けたくない。
ぎゅ、と服の裾を握りしめながら言うと、ホークスはぐるんとまた回ってからうさちゃんを手放して。
赤い翼を揺らして、私の目の前に来る。
「"みたいな"って、何と？」
低い、彼の声音──────久しぶりに聞いた方言に顔を上げると、黄金色の瞳はちょっと強い視線を私に向けていた。
「やけん、うちとホークスは」
「ばり好いとうのに、会うたらつまらんと？」
思わず方言で返すと、ホークスは更に声音を強くした──────のではなくて。
黄金色の瞳を、ほんの少しだけきゅっと下げて。
酷く切なげな雰囲気を讃えて、寂しそうにそう問うた。
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あろま(プロフ) - オーバーさん» こちらこそリクエストありがとうございました！お気に召して頂けて光栄です！期待させてしまってすみませんでした…。楽しみにしてらっしゃいましたよね…。なんて優しいんですか…！感謝感激です！頑張ります！ (2019年9月25日 23時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - リクありがとうございます！とても良かったです(´ω`*) ホークスの新作の件は残念でしたが、あろまさんの書く小説が大好きなので、大丈夫です(`ω´)b 執筆お疲れ様でした！！ (2019年9月25日 21時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - オーバーさん» お久しぶりです、オーバーさん！弔くんのお話好きですか…！？嬉しい限りです！鬼滅の方も読んでくださって感激です…！これからも頑張ります！ (2019年9月21日 23時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - お久しぶりです、あろまさん！ 死柄木くんのお話好きです(´艸`) 鬼滅も楽しく読んでます(´ω`*) 更新ファイトです！！ (2019年9月21日 21時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - オーバーさん» リクエストありがとうございます！そうなんです！ついにホークスの新作を書きます！ずっと書きたかったお話なので自分でも楽しみです(笑)アネモネいつか書こうと思っていたので嬉しいです！了解です、荼毘ですね！いつもコメント感謝です！全力で書きます！ (2019年8月26日 11時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年7月1日 22時
