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俺は翼を広げて逃げ惑う敵を追っていた。
──────クソ、こんなときに
やっと焦らしに焦らしたAに会いに行けると思ったのに、敵に遭遇した。
今日ばかりは事実で。屹度普段の行いが悪いからこうなるんだ。
逃げるのに特化した個性の敵に珍しく苦戦し、Aの住むマンションへ目掛けて飛び始めたのは12時過ぎだった。
Aの住む関東圏とは反対に逃げた敵のせいで、明らかに時間ロスだ。
「A寝ちゃったかな…」
翼をはためかせながらスマホをちらりと見るも、メッセージは『気をつけて来てね』で終わっていた。
(…もっと怒るなりすればいいのに)
Aはいい子すぎる。
いや──────実際泣くほど悲しんでいるのに、俺を困らせると思って本音を口にしないのだ。
(よし、帰ったらたっぷり可愛がってあげよう)
会えなかった分の寂しさを埋めるような夜を過ごそう。
「…でも起こすのは可哀想かな」
頭を捻りながらやっと着いたベランダに着地する。
いつも出迎えてくれる笑顔のAはいない──────けど、しっかり電気はついていて。
靡くカーテンの隙間から、テーブルに突っ伏して眠るAの姿を見つけた。
靴を脱いで、音を立てないように網戸を開けて上がり、数歩も歩かないうちに──────わかってしまった。
Aが俺の羽を抱き締めて眠っていることに。
その羽は、付き合い出した当時に俺が上げたお守り。
そうしてAの横にはスマホ。ロック画面には俺とのツーショット。
覗き込んだ寝顔は寂しそうで、涙の跡が柔らかな頬にくっきりと残っていた。
──────あぁ、あぁ
駄目だ、もう俺は限界を迎えていた。
腹の奥底から笑みが零れて思わず笑い声を上げてしまう。
狂おしい程に、従順。
俺が愛した仕方の無い彼女
口元を覆っていた手を唇から額へと滑らせて前髪をかき揚げる。
「気が狂いそうな程に最高だよ、A…!!」
すっかり俺に依存したA。
この焦らしを繰り返しているうちに、いつからかAは俺を必要以上に求めるようになっていた。
「ホークス、ホークス」と会う度に切なげにAを呼ぶ彼女が愛しくて堪らない。
「──────本当に依存してるのは、俺なんだよ?」
Aの全身と心に絡みついて締め付けているのは、他でもない俺なんだけどね、A。
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あろま(プロフ) - あいねさん» コメント気づきませんでした…！コメント感謝です！何回も読み返して下さるなんて…！この作品も読んで下さって嬉しいです！いつも感謝感激です！ (2019年12月29日 7時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
あいね - あろまさんのヒロアカ短編集はどれも最高なんですね、「求めて、求められて」シリーズはもう何回も読み返して全てを読みきった感で居たら………私の馬鹿！！←何でこの作品を見つけてなかったんだ……？見つけた時驚きで数�冂靴佑泙靴拭�← (2019年12月16日 22時) (レス) id: 59d3daabe9 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - きりんの木さん» コメントありがとうございます！轟くんはヤンデレになるとあんな感じになると思うんですよね…。応援のお言葉も嬉しいです！これからも頑張ります！ (2019年9月2日 17時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
きりんの木(プロフ) - コメント読みました、凄く嬉しかったです。あろまさんもゾッとしながら書いてたんですね（笑）そうですか…終わっちゃうんですね…寂しいです…。再開の日を心待ちにしています。これからも頑張ってください。かげながら応援しています！ (2019年9月1日 16時) (レス) id: 8f4326a47e (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - きりんの木さん» 沢山お褒め頂き感謝です！リクエスト大変嬉しいのですが、実はこのシリーズを一旦終わりにしようと考えておりまして…。話数が残り少ないので書くのが難しいと思われます…。ごめんなさい…。もしまた再開した時であれば受け付けられます！ご了承くださいませ…！ (2019年9月1日 8時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年6月9日 23時
