環と"嫌い" ページ17
家につくと、下駄が玄関にあって
ドアを開けると、そこには────ベロンベロンに酔っ払ったAがいた
「A…！」
Aが電話に出て、安堵したかと思えば呂律の回っていない声で驚いた
テーブルには様々なお酒の缶が転がっている
部屋中すっかりアルコールの匂いだ
「A、A…！」
直接謝りたくて、ゆらゆらと身体を揺らすと、真っ赤な顔を行成上げて、此方を捕らえた
「たまきぃ…？」
Aは目を見開くと、「うっ、うっ」と泣き始めてしまった
原因なんてわかってる────他でもない、自分のせい
「A、話聞いて、A────」
歩み寄ろうとすると、「や、いや」弱々しい声
むくり、顔を上げると酷い顔のまま立ち上がって
それに伴って後退する俺に、Aは口を開く
「話なんかないでしょ、私のことすっぽかして、行っちゃったんだからぁ！」
子供みたいな口調
この間デートを放り投げて行ってしまったときには、そんなこと言わなかったのに
「それは」
「この間も、そう！
久しぶりにデート出来るって、楽しみにしてたのに！」
次から次へと語られる、Aの本音
ずっと、きっと、優しい笑顔で隠してたんだ
「環、家にいる時間少ないし、家にいてもキスしかしてくれない！
私、待ってるのに、私は、もっと環に、触れて欲しいのに…っ」
とめどなく溢れる本音
それに伴って、どんどん涙が溢れて、柔らかな頬を伝って、ぼたぼた落ちて
「一年記念、だったのに────」
────Aの表情は、怒りというより
深い悲しみに、染まっていた
────その瞬間、馬鹿な俺は全て知った
自分が、想像していた以上に、Aに寂しい思いをさせて、傷つけ、悲しませていたことに
「A…っ、俺は」
届かない彼女に、手を伸ばす────けど
伸ばした手は、弱々しい手に、振り払われて
Aは、桜色の目に、涙をいっぱいに溜めて、今にも消えてしまいそうな、苦しそうな表情をして────
「環なんかっ、嫌い…っ!!」
そう、聞いたことの無い悲痛な声で叫んで、スマホだけ持って飛び出してしまった
静まり返った部屋の中で、俺は、立ち尽くしていた
────心臓を、激しい炎で焼かれるような、胸の痛み
息をするのさえ、苦しい
「俺は…、俺は…っ」
彼女の悲痛な叫びが────何度も何度も頭の中をこだましていた
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こおら(プロフ) - 男ですが1日で全部読んじゃいました…笑 今更コメント残しても遅いかもしれないんですけどどうしても残したくて書いちゃいました。 男なのに珍しいかもですけどすごくドキドキしました…笑 (2021年8月29日 9時) (
レス) id: c29f706d65 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 棒つき飴さん» コメントありがとうございます！神だなんて恐れ多すぎます…！環くんへの愛で執筆しました（笑）読んで下さって嬉しいです！ (2020年1月25日 9時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
棒つき飴 - あなたが神か (2020年1月21日 21時) (レス) id: 75dcb5e175 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 天喰君推し少女なぎさん» コメント気づかなくてごめんなさい！コメントありがとうございます！ファットガムには申し訳ないです…。ファットガムって好きな人が誰かと被ってしまったら引く男だと思うんです…。 (2019年8月14日 11時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
天喰君推し少女なぎ - ファットガム…なんか…悲しいな… (2019年6月9日 0時) (レス) id: c855ae6157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年2月22日 20時
