環とすれ違い ページ16
『現在、大阪府江洲羽市の……通りで脱獄敵の……が暴走しています！
現場には駆けつけたヒーローが…』
スマホを見ると、トップニュースになっていた
「…そう、だよね」
スマホに表示される時刻は8時34分
────ニュースを見て、わかった────環だって
今、彼は皆のために必死に戦っている
数え切れないほどの命を、救おうとしている
────それ、なのに
「…っ、なんで、私を選んで欲しかった、なんて…っ!」
浅ましくて愚かな自分が、嫌で嫌で堪らなくて、どうしようもなくて
ぎゅっと歯を食いしばって、浴衣を思いっきり掴んで、声を押し殺す
(今日くらい、私を優先して欲しかった…なんて)
彼はプロヒーロー
助けを求めている人を見逃すはずが、見捨てるはずがないの
だから仕方ないこと、当たり前のこと
────最初、私はサンイーターに惚れたのに
────気づけば、今は、天喰環を求めている
自分の欲深さと、やり場のない怒りが、込み上げてきて、胸を圧迫する
こんな汚い心の私、知ったら環は幻滅するのかな
「────私なんか、環の隣にいる資格、ない」
色々な思いの混じりあった涙がとめどなく溢れてきて
私は、目尻を拭いながら去っていった
気絶した敵を、周りの人々の拍手喝采を受けながら警察に届けたが────心は虚空のようで
様々なインタビューを払い除けてAの元へ向かおうとすると、ふらついてしまった
「サンイーター！あんた怪我してるぞ！手当せんと！」
「…っそんなことより、Aが、待ってるんだ」
振り払おうとするも、力が入らない
人々に押され、俺は心に重い塊を持ったまま警察で治癒を受けた
治るとすぐに警察署を飛び出し、約束の鳥居へ向かう
時刻はもうその頃には10時を過ぎていた
人々の視線や声を、全部振り払って無我夢中で駆けつけ、顔を上げると────ひっそりと立つ鳥居の前に、人影はなかった
「…っはぁ」
息を吐いて、俺は鳥居に寄りかかった
当たり前だ、もう約束の時間から4時間も過ぎているのだから
『お祭り、楽しみだねぇ！』
2日前、出張に行く前にそう言った、心底嬉しそうなAの笑顔にヒビが入った気がする
「A…っ、ごめん」
帰ったら、なんて言おう
怒っているだろう、許してくれるだろうか
そんなことを考えながら、俺はコール音のするスマホを耳にあてた────
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こおら(プロフ) - 男ですが1日で全部読んじゃいました…笑 今更コメント残しても遅いかもしれないんですけどどうしても残したくて書いちゃいました。 男なのに珍しいかもですけどすごくドキドキしました…笑 (2021年8月29日 9時) (
レス) id: c29f706d65 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 棒つき飴さん» コメントありがとうございます！神だなんて恐れ多すぎます…！環くんへの愛で執筆しました（笑）読んで下さって嬉しいです！ (2020年1月25日 9時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
棒つき飴 - あなたが神か (2020年1月21日 21時) (レス) id: 75dcb5e175 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 天喰君推し少女なぎさん» コメント気づかなくてごめんなさい！コメントありがとうございます！ファットガムには申し訳ないです…。ファットガムって好きな人が誰かと被ってしまったら引く男だと思うんです…。 (2019年8月14日 11時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
天喰君推し少女なぎ - ファットガム…なんか…悲しいな… (2019年6月9日 0時) (レス) id: c855ae6157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年2月22日 20時
