たまきと"幸せになろう" ページ38
「…初め、Aに会ったとき
随分前にも言ったけど、Aを心から守りたいって思ったんだ」
急に泣き出したから、あのときは慌てたと付け足すたまきに、眉を下げて笑った
「うん」
「それから偶然職場が同じで────正直、運命だって思ったんだ」
「…うん、私も」
「そのあとも歓迎会したりとか、一緒にご飯食べたりとかしたけど
一緒に過ごす度にどんどん、Aに惹かれていった」
優しさの宿る瞳でそんなこと言わないで
もう、目尻が熱いよ
「でも俺は中々気持ちに気づけなくて、Aを避けて…馬鹿なことをした」
「ううん、そんなことない」
「想いが通じあって、信じられなかったけど
付き合えて、本当に、幸せだなって」
握る力を強くして、たまきは本当に柔らかな表情をしていて
嗚呼、もう、駄目だ
目の前の彼が、たまきが、愛おしくて堪らない
(ずっと、ずっと、そんなふうに想ってくれてた)
こんなに想ってくれる人なんて、他にはいない
温かくて、陽だまりみたいで
表情も、声も、体温も、全てが、私を包み込んでくれる
"好き"が溢れて、苦しくなって────でも、泣いちゃダメ
必死に堪えていると、たまきは肩から下げた鞄から箱を取り出した
「開けて」
そっと受け取って、しゅるり、桃色の────今も耳元で輝くイヤリングと同じ色のリボンを解く
開けると中には薔薇の装飾が施された淡い桃色のオルゴールが入っていた
────もう、下に広がる海も
────後ろに輝く街並みも
────私たちを照らす月明かりも
────遠くに聞こえるさざ波の音も
全部消えて、無くなって────世界には、二人だけ
カチリ、オルゴールの開く音と
二人分の、呼吸音
そして────心音
開いたオルゴールの中には、ダイヤの指輪が眠っていた
驚くとか、喜ぶとか
そうする前に────涙が自然と頬を伝っていた
喜びたいのに、ありがとうって言いたいのに
愛を叫びたいのに、涙が心をいっぱいにして、声が出ないの
貴方に抱き着きたくても、足が震えて動かない
貴方を見つめたくても────涙が邪魔して、見れないの
「────っう、ぁ」
意味の無い単語しか出てこなくて
必死に両手で顔を覆って、涙を拭って
なんとか見ようと、顔を上げると
今までにないほど真っ直ぐな目で、たまきは泣きそうに
「一緒に幸せになろう」
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こおら(プロフ) - 男ですが1日で全部読んじゃいました…笑 今更コメント残しても遅いかもしれないんですけどどうしても残したくて書いちゃいました。 男なのに珍しいかもですけどすごくドキドキしました…笑 (2021年8月29日 9時) (
レス) id: c29f706d65 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 棒つき飴さん» コメントありがとうございます！神だなんて恐れ多すぎます…！環くんへの愛で執筆しました（笑）読んで下さって嬉しいです！ (2020年1月25日 9時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
棒つき飴 - あなたが神か (2020年1月21日 21時) (レス) id: 75dcb5e175 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 天喰君推し少女なぎさん» コメント気づかなくてごめんなさい！コメントありがとうございます！ファットガムには申し訳ないです…。ファットガムって好きな人が誰かと被ってしまったら引く男だと思うんです…。 (2019年8月14日 11時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
天喰君推し少女なぎ - ファットガム…なんか…悲しいな… (2019年6月9日 0時) (レス) id: c855ae6157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年2月22日 20時
