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『なん、で……気付いて……』
ようやく絞り出した声はそれはもう情けないほど掠れていた。
「すぐに気付きました。先輩もですよね?」
『う、うん』
「やっぱり。でも、なんだか大学で見かける時と雰囲気が違うから」
心臓が大きく音を立てた。
今日の彼には、いつもと違う、少し無愛想な姿を見られている。
性格が悪いと思われていたらどうしよう。
大学の人に言われる?
……また間違えるの?
そんな負の感情が渦巻く。
「少し嬉しかったです。他の人が知らないであろう先輩を見れて 」
『……え?』
予想外の言葉に驚きが隠せず、間抜けな声を出してしまった。
「大学で見かける明るい先輩も、今日みたいに穏やかな先輩も、僕はどっちも素敵だと思います」
まるで、月みたい。
その言葉を聞いて、ニコッと笑った姿を見て。
ああ、私、あまりにもちょろすぎないか?と思うのだけど。
もうどうしようもなかった。
私はこの瞬間、太陽みたいなソンハンビンに恋をしてしまった。
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作者名:はる | 作成日時:2023年6月3日 15時