巡り会うふたり≪TH≫ (ページ6)

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裏庭にあるおおきな木の陰に隠れて
女の子が一人肩を震わせて座り込んでいた

ほかの豪族たちと比べれば
この家もさほど大きくはない家だけれど
5歳にとってはとても大きく感じるこの家

迷子にでもなってさまよい歩くうちに
裏庭に入り込んでしまったのだろう

僕はその子にそっと声をかけた

『ねぇ、名前は』

『ソン、A、です』

『Aちゃん、いくつなの？』

『ごさいです』

『ぼくといっしょだね！』

『いっしょ、、、！』

それからボク達は木の下で
しばらくおしゃべりをした

　『ねぇ、まちがきれいにみえる
ところがあるんだよ』

僕はほと、昔に両親と行った高台を思い出した。
この子にもあの景色を見せてあげたいと思った。

『いっしょにいく？』

そう聞くとAが頷いたから
僕はAの手を握って出発したんだ

今思えば両親とは馬に揺られて
向かった場所まで
僕たちの小さな足で歩くには
すこし、遠すぎた

『ねぇ、もう暗くなるよ？』

『もうすぐだから』

昼過ぎに家をでた僕達が
高台に着いたのはもう
日が沈みかけるころだった

『わぁ、、きれいだね』

『でしょ？きれいでしょ！』

僕はもうずっと忘れない
あの日幼かった僕たちがみた
夕日が沈む綺麗な街を

あの後二人疲れ果てて
気が付いたらベンチで眠っていた

夜になって僕たちを探しに来た兄さんに起こされて
Aと2人でそれぞれの両親に
とても怒られたけど
その大冒険はとても楽しくて
2人だけの大切な思い出になった