勿忘草【完】 (ページ9)

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家に着いて
オートロックを解除して開けたドア

家は何故か電気が点いていた。

…どうしてだろう？
消し忘れたかな

だけどそれだけじゃない。
なんだかいい匂いがする。

恐る恐る足を進めると
リビングのテーブルには美味しそうなキムチチゲ

そして

「あ！おかえり！」

ここに居るはずの無い彼女

Aが

1年前と何も変わらない姿で立っていた。

「今日はコンサートお疲れ様！
行けなくてごめんね、どうだった？」

「ああ、うん。すっごく楽しかった」

あまりに自然に話しかけられるから
俺も普通にそう返していた。

「また泣いたでしょ～。ほら、おしぼり。
冷やしとかなきゃ折角のイケメンが台無しになっちゃう」

そう言って笑いながらおしぼりを渡すA

いつもそうだった。
コンサートとか、何かある度に泣いてしまう俺

そんな俺に呆れながらもおしぼりを渡してくれて

よく泣く俺に
いつだって笑顔をくれた

戻ってきてくれたの…？