勿忘草【完】 (ページ11)

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2人並んでソファに座って
何をするでもなく
ただただ手を繋いで

俺は彼女の存在を確かめるため

寄り添って過ごした。

「勿忘草の花言葉…知ってる？」

「ごめん、知らないや」

「そっか…それなら良いの」

そう言って笑う彼女が今にも消えてしまいそうで
思わず手に力が入る。

「…ジェジュン、私そろそろ行かなきゃ」

「え…？」

彼女の手を離したくなくて強く握るけど
その手からは徐々に温もりが消えていく。

「忙しくても、ちゃんとご飯食べなきゃだよ？」

どうして

「ファンのことも今まで通り愛して」

行かないで

「泣いたあとはちゃんと冷やしてね？」

Aがおしぼりを渡してよ

「私のことは気にしないで、良い人見つけて幸せになってね」

嫌だよ
そんな事言うな

俺の目を見て涙を細い指で拭いてくれる彼女を
逃さないように
離さないように
きつく抱きしめる。

「ジェジュン…バイバイ」

気がつくと
俺の腕の中に彼女はいなくて

部屋には何も考えられない俺と
彼女に貰った勿忘草だけが残された。