MY HOUSE

彼女の困り顔 ページ26

ウヨン｢あ、僕も戻らなくちゃ。birthdayソング、弾き語りしなきゃだったの(笑)｣


A｢え？そうなの？｣


ウヨン｢うん。日本でリリースした曲なんだけど。良かったら聴いてよ｣


A｢もちろん！ウヨンさんの素敵なところ、バッチリ収めさせて頂きます！｣


彼女はカメラを掲げた


ウヨン｢カッコよく撮ってね｣


僕達は会場内へ戻った


そしたら、丁度係の人に案内されて


もう少しでお祝いの言葉が始まりますからって


僕はピアノにスタンバイ


ホントはペンちゃんの為に作ったんだけどね


祝辞があって


僕のピアノが始まる


沢山の人の前でピアノって


緊張するなー･･･


歌の途中でやっと、余裕が出てきて


僕にカメラを向けてるAさんが


視界に入った


僕、主役じゃないよ？(笑)


お誕生日の人、撮らなくちゃでしょ？


一息ついて、カメラを下ろした彼女


さっき話してた時とは違う視線があった


弾き終わって、一礼して顔を上げたら


彼女が僕を見てた


そして、僕も彼女を見たんだけれど


彼女は少し、困った様な顔をして


僕から顔を背けた


えっ？それ、どういう意味？


会場内がまた、歓談モードになって


彼女は黒いバッグにカメラを収めてた


勇ましく、そのバッグを掲げると


Aさんは、もう、僕の方も見ないで


会場から出て行った


えっ！待ってよ！


僕は慌てて彼女を追い掛けた


外に出たら彼女の姿はなくて


ウヨン｢出口･･･出口･･･｣


中庭抜けたら近道かな


急ぎ足で中庭に向かう


噴水辺りで、白いシャツの背中を見付ける


ウヨン｢ねぇ！ちょっと待って！｣


いつになく、僕は大きな声を出した


なのに、彼女は聞こえてないのか


振り返らない


駐車場に続く道で


ようやく彼女に追い付いて


彼女の手首を掴んだ


ウヨン｢待ってって！｣


そうしても、彼女は振り返らない


ウヨン｢僕、何かした？何か気に触る事した？｣


A｢ごめんなさい･･･違うの。手、放して？｣


ウヨン｢やだ。こっち向いてくれるまで、放さない｣


A｢ほんと、無理。お願いだから･･･放してください｣


ウヨン｢放したら、こっち向いてくれる？｣


A｢･････｣


ウヨン｢だったら、放せない。放したくない｣


A｢どうして？どうしてよ？｣


ウヨン｢僕が君ともっと話したいって思ったから｣


A｢だったら･･･話す事なんてもうないよ｣

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