Jun.K ver.[ビールと屋上] ページ10
シャワー浴びて
ラウンジに向かったら
closedって立て看板があった
構わず奥に入ると
通常営業中みたいな感じに
チラホラ客がいた
俺はカウンターに陣取って
チビチビ呑む事にした
ペントハウスの住人か･･･
成功者ばっかりって事か
カウンターの一番端に座ってる男女
奥に座ってる女性に見覚えがあった
あぁ･･･服装が違うから分かんなかった
ジーンズにパステルブルーのチェスターコートの彼女は
フロントマネージャーのAちゃんだ
ふぅん･･･恋人いたのか〜
でも何か、いい雰囲気ってよりも、むしろ、嫌悪な感じ？
チビチビ酒を呑みながら
何となく興味で
カウンターの端から聞こえる会話に
耳を傾けてた
A「もう、決めた事だから･･･」
男「お前さ、それだけで済むと思ってるわけ？」
A「もうこの話ってとっくに終わってるよね？何で今更蒸し返すわけ？正直、あなたがここへ来るのもどうかと思うけど･･･」
男「俺ら二人だけの問題じゃないって言ってんだろ？」
A「それにしたって、私達が終わったんなら、終わりでしょうよ」
もういい、帰ってよ･･･
ってAちゃんが席を立った
男が待てよ！って腕を掴んだ
A「放して」
Aちゃんの表情はここから見えなかったけど
すごく冷たく言い放った
うわぁ･･･修羅場じゃん･･･
俺は思わず、視線をカウンターの奥へ戻した
ヒールの音を鳴らして
Aちゃんが俺の後ろを通り過ぎてった
そして･･･俺･･･
彼女の背中を見送りながら
席を立ってた･･･
少し前を歩くAちゃんは
背筋をピンって伸ばして
颯爽と歩く
歩くの速いなぁ･･･
廊下の端まで歩いて
並んでる自動販売機にコインを入れた
ガコン･･･ガコン･･･ガコン･･･
って、ビール3本？
そして、それをカバンに押し込んで
グレーの重いドアを開けて
入ってった
非常階段？
俺も慌てて後に続く
どんどん階段を昇ってくAちゃん
どこ行くの？
ガチャガチャって音がして
冷気が流れてきた
外？
バタンッって閉じられたドアを
開けた･･･
目の前には
無数の輝くネオンがあった
屋上だったのね･･･
えーっと･･･Aちゃん･･･
あ、いた･･･
A「誰？誰かいるの？」
少し暗くて分からない彼女の表情
Jun.K「えーーーっと･･･Jun.Kです〜」
A「えっ？」
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作者名：カシスジンジャー
| 作成日時：2015年2月25日 18時
