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クルーウェル先生は私の中学校に臨時として数ヶ月間だけ働いていた。
短い間だったけれど、私は何度も助けられた。先生が居なかったら魔法士として学ぶことを諦めていたと思う。
だから学生時代の恩師を聞かれたら、迷わずクルーウェル先生の名前を出す。
中学生の私は、自他共に認める典型的な糞ガキだった。授業なんてよくサボったし、あの頃の成績表なんて見れたものじゃない。
そんな問題児が教師のおかげで更生して慕うようになる、なんてよくある話。それで終わらせればよかったのに。

きっかけは、なんだったっけ。
この瞬間に『落ちた』とハッキリ自覚した訳では無い。いつの間にか先生と廊下ですれ違う度、怖いとか面倒臭いとか思うより、かっこいいとか話しかけてきてくれないかなとか、そんな事を思うようになっていた。

心の変化は違和感として降り積もり、それを曖昧ながらも恋だと飲み込むと異様にしっくりくる。
ずっと不思議だった気持ちから開放されたと同時に、その時は教師に恋だなんて、なんて不毛なんだろうと嘆いた。

早く忘れよう、と自覚し始めた途端にその気持に必死に知らないふりをしたけれど、結局は長らく引きずったし先生にもバレた。
結果は言わなくても分かるだろうから言わない。

強いて言うなら、最後まで先生は優しかった。こんなに優しいフり方があるだろうかと言うくらい。
お陰で私は引きずりはしたけれど、泣くことは無かった。
月日が経てば、未練もすっかり消えて無くなった…。


「熱あるのか??
顔が真っ赤なんだゾ?」
「なんでもないよ…。」
「ふなぁ?
変なやつなんだゾ…。」

無 理 で し た 。
実は私は彼がこの学園に勤務していることは知っていて、この学園に来る前からこれも不安のひとつだった。
いくら月日が経っても、今からその倍の長さ学園で顔を合わせることになるんだからまた気持ちが再熱してしまいそう…!!
予感は的中して案の定廊下で30秒会話しただけで顔がこの有様。熱じゃねえよ、恋煩いだよ…。

はぁ、とクソデカため息をつきながら「辛気くせー奴だな。」と言いながら見上げてくるグリムを抱え直し、まだ先生の香水の香りが残ったその場から名残惜しくも足を進めた。



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あ お 子。(プロフ) - ヲヲクさん» ありがとうございます!ゆっくりになってしまいますが、面白いと言っていただけるようこれからも頑張ります…!続編もよろしくお願いします! (2020年8月2日 9時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
ヲヲク(プロフ) - 凄く面白いです!頑張ってください! (2020年8月1日 21時) (レス) id: 9efd66ac59 (このIDを非表示/違反報告)
あ お 子。(プロフ) - 鹿野ユズナさん» 本当ですね。すぐに修正しておきます。ご指摘ありがとうございました。 (2020年7月18日 5時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - 最後の自己紹介、ディアになってますよ。クロウリーですよね? (2020年7月18日 2時) (レス) id: 6c05b173a1 (このIDを非表示/違反報告)
あ お 子。(プロフ) - うささん» ありがとうございます!更新速度上げられるように頑張ります…!! (2020年7月4日 19時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あお子。 | 作成日時:2020年3月31日 22時

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