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思わずグリムを背中に隠した。特に意味は無いつもりだったけど、心のどこかで会話の邪魔をして欲しくないと思ったのかもしれない。
あぁ、何か話したいけど、その何かが浮かばない。目が合った時には、私は2年前の夏に戻された気さえした。
私が最後に彼の姿を見たのは、窓から真夏の太陽の差し込む放課後。
半袖から伸びる白くて、でも所々血管の浮かぶ先生の腕に目がいく不真面目な私は一番前の席。
教壇の先生は私だけを相手に授業を進める。
二人だけの授業。
あの頃、彼の耳にはピアスなんて空いてなかった。瞼に乗るピアスとお揃いの色のアイシャドウも。
2年の間で、人ってこんなに大人びるもの？
｢人にぶつかっておいてその間抜け面はなんだ？
駄犬。｣
｢ごめんなさい、デイヴィス先生。｣
｢馬鹿。お前はまだ中学生か。
クルーウェルの方で呼べ。｣
｢…クルーウェル先生。｣
とんっと頭を軽く叩かれた。全然痛くない、それよりも懐かしい。
聴覚と視覚、それだけじゃない。五感全部が彼の一つ一つに反応して昔の記憶を揺さぶる。
｢ 俺の後を追って来たか。｣
｢ち、違うよ。
色々偶然が重なってここに居るんです。｣
｢まぁ、大体の事はクロウリーから聞いてるから知ってる。お前がコネで入ってきたって言われてるのもな。｣
｢…先生も、そう思ってる？｣
｢くだらん噂だとは思ってるが？
A、悔しがらずに飲み込むのはお前の悪い癖だ。そのレッテルが定着する前に早く見返せ。
そうだな、俺のテストで満点が取れたらその細い首に似合う首輪でも与えてやろう。｣
…私、クルーウェル先生の担当教科が魔力フルで使う魔法薬学だって知ってるし。見返してやれって…この名門校でトップを狙うのと田舎の中学でトップを狙うのとじゃハードルが違う。
意地悪く細められた目が、モノクロの髪から覗く。
｢じゃあな。｣赤いグローブがはめられた手をひらひらと揺らしながら私の横を通り過ぎる先生。
｢先生。｣
｢ん？｣
｢私はデイヴィス先生って呼んじゃダメなのに、先生は私の事Aって呼ぶの？｣
先生は少し目を見開いてから、｢お互い、癖が抜けてないな。｣と今度は愛嬌のある笑みを零した。今度こそ背中が遠くなる。
でもね先生、さっきのは苗字で呼べって意味じゃないよ。
変わらず私を下の名前で呼んでくれたのが嬉しくて、だから、こんなの我儘だけど、そのまま。
｢ふがっ！！
お前俺をローブの中に押し込みやがって！
本当に死ぬ…ん？｣
｢ごめんごめん、グリム。
どうかした？｣
｢お前…熱でも出たのか？｣
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あ お 子。(プロフ) - ヲヲクさん» ありがとうございます！ゆっくりになってしまいますが、面白いと言っていただけるようこれからも頑張ります…！続編もよろしくお願いします！ (2020年8月2日 9時) (
レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
ヲヲク(プロフ) - 凄く面白いです！頑張ってください！ (2020年8月1日 21時) (レス) id: 9efd66ac59 (このIDを非表示/違反報告)
あ お 子。(プロフ) - 鹿野ユズナさん» 本当ですね。すぐに修正しておきます。ご指摘ありがとうございました。 (2020年7月18日 5時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - 最後の自己紹介、ディアになってますよ。クロウリーですよね？ (2020年7月18日 2時) (レス) id: 6c05b173a1 (このIDを非表示/違反報告)
あ お 子。(プロフ) - うささん» ありがとうございます！更新速度上げられるように頑張ります…！！ (2020年7月4日 19時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお子。 | 作成日時：2020年3月31日 22時
