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(あっついな…!!!)
私は今、走り出してから5秒くらいで心が折れそうになっています。バカ暑い。
ぱちぱちと音を立てて燃え上がる炎の間を縫うように駆け抜けながら、飛び散る火の粉を振り払う。
…このローブ焦がしたりなんかしたら怒られるんだろうな。主にヴィルさんに。
ゆったりとしたシルエットの式典服は足を動かす度にぱたぱたとはためく。引火したら怪我が云々より、服を焦がした後のほうが怖い。
足元と私が今救出しようとしている女の子をしっかり目視で確認しながら、私はそのまま走り続けた。
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「大丈夫ですかっ!」
声が届くであろう範囲まで近づくことが出来た。直ぐに声をかける。彼女は私の声にはっとした表情になり「はい!」と返してくれた。
手は震えている。来て正解だった。
鏡の間の一番奥は舞台のようになっている。階段を登り女の子の元へ駆け寄った。
私より低い背丈。女の子らしくて可愛い、なんてそんなことを考えてしまったので思ったより心に余裕があるかもしれない。いや、煩悩まみれなだけかも。
「ここは危ないと思うから、一緒に逃げましょう。」
「ありがとうございます…!」
けほ、と噎せながらお礼を言われた。そうか、物が燃えて出た煙って吸ったら危ないんだっけ。尚更早く部屋から出たほうがいい。
1度迷ってから手を差し出すと、躊躇せず握ってくれた。拒否られたら土下座しようと思っていたから良かった。
元来た道を戻ろうと、後ろを振り返る。が、さっき登ってきた階段に火が到達している。あれ、やばいなどこから降りよう。
「下に降りれない…。」彼女も同じ事を思ったようで、そう零した。
「ッきゃあ!!」
「ッ!!っついな、!!」
突然横の火の威力がまして火柱を上げた事に、気付くのが一瞬遅れた。マジカルペンを握り防御魔法を唱える。透明な壁が2人分。その分私の魔力も消費されるから一気に疲れた。ほんっとに不便な体!!
火炙りになることはなかったけど髪の先焦げたかも。先輩だったら上手くやってたんだろうな…って今は後ろ向きになってる場合じゃない!
トレイ先輩の言葉を思い出した。この場所は火の勢いも強いし、それに階段も塞がれている。
先輩の教えに習うなら、誰か呼んだほうが良いんだろうけどそれまで待てるか?煙も充満してるし、人を待ってる間に私達…。
それよりだったら…!!
「あの…。」
「どうしました?」
「ごめん、本当にごめんなさい。
触っていいですか?」
「…は?」
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あ お 子。(プロフ) - ヲヲクさん» ありがとうございます!ゆっくりになってしまいますが、面白いと言っていただけるようこれからも頑張ります…!続編もよろしくお願いします! (2020年8月2日 9時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
ヲヲク(プロフ) - 凄く面白いです!頑張ってください! (2020年8月1日 21時) (レス) id: 9efd66ac59 (このIDを非表示/違反報告)
あ お 子。(プロフ) - 鹿野ユズナさん» 本当ですね。すぐに修正しておきます。ご指摘ありがとうございました。 (2020年7月18日 5時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - 最後の自己紹介、ディアになってますよ。クロウリーですよね? (2020年7月18日 2時) (レス) id: 6c05b173a1 (このIDを非表示/違反報告)
あ お 子。(プロフ) - うささん» ありがとうございます!更新速度上げられるように頑張ります…!! (2020年7月4日 19時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あお子。 | 作成日時:2020年3月31日 22時