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「式典服にこのシャドウってどう?」
「あー、それよりもこっちのワントーン暗いブルーのほうがいいわよ。」

廊下からそんな会話が聞こえてくる。流石美しき女王の奮励の精神に基づく寮って呼ばれる寮生なだけある。寮生の美意識に舌を巻いた。

数日間泊まらせてもらって気付いたが、ポムフィオーレの朝は人通りはあるがとても静かだ。
でも今日は、朝早くから沢山の声が聞こえる。私もいつもより早起きしてそんな声に耳を傾けながら身支度をしていた。

シャワーを浴びて濡れた髪を乾かしてから、クローゼットにかかったローブを見てため息をつく。
今日はナイトレイブンカレッジの入学式。正装としてローブを着ることがルールなのだが、私はこの服が苦手だ。

(だって上手く着れないし…!!!)

手渡された時には気付かなかったが意外と着方が難しい。ただでさえ正装に慣れていない私が着ると何だか服に着られている感が凄い。

苦手なのはそれだけじゃない。
誰が決めたか知らないが正装時には必ずメークをする必要がある。男も女もだ。
「別にバッチリフルメイクする必要は無いけど、アイメイクくらいは…。」と説明された時は(そのアイメイクでさえおぼつかないんですけど…!!)と内心叫んだ。

中学時代はファッション誌よりスポーツ誌を見る方が多かったし、可愛い私服よりトレーニングウェアにお金を使う方が多かった。そんな女子力ゼロ野郎がメイクなんてできるはずがないじゃん……。試しにやったら歌舞伎になった。泣きながら洗顔。

そうしていたらかなりの時間が経っていて、慌てて部屋を出た。メイクは…まぁしょうがないかな。200人ほどいる新入生のなかで1人くらいメイクしてなくたって誰も気付くわけがない。寮の判定に参加するわけでもないし…。

「あら、まだ移動してなかったの?」
「ヴィルさん…!すみません、今行きます!」

式典服を着こなした美人がいたと思ったらヴィルさんだった。
残っている生徒が居ないか見回ってたのかな。寮生な訳でもないのに最後まで残ってたなんて恥ずかしい…。頭を下げて鏡の間へ急ごうとするといきなり肩を掴まれた。あのちょっと痛い痛い痛い痛い!!

「アッ…肩取れそうです…!!!」
「信じらんない。」
「えっ…。」

「そんな格好で人前に出るつもりだったなんて信じられないって言ってんのよ!」


ありえないぐらい怒られた。普通にびびった私は声も出ないとか惨めすぎん?
肩を掴んでいた手に今度は手を掴まれて、困惑する私を引きずって行った。





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あ お 子。(プロフ) - ヲヲクさん» ありがとうございます!ゆっくりになってしまいますが、面白いと言っていただけるようこれからも頑張ります…!続編もよろしくお願いします! (2020年8月2日 9時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
ヲヲク(プロフ) - 凄く面白いです!頑張ってください! (2020年8月1日 21時) (レス) id: 9efd66ac59 (このIDを非表示/違反報告)
あ お 子。(プロフ) - 鹿野ユズナさん» 本当ですね。すぐに修正しておきます。ご指摘ありがとうございました。 (2020年7月18日 5時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - 最後の自己紹介、ディアになってますよ。クロウリーですよね? (2020年7月18日 2時) (レス) id: 6c05b173a1 (このIDを非表示/違反報告)
あ お 子。(プロフ) - うささん» ありがとうございます!更新速度上げられるように頑張ります…!! (2020年7月4日 19時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あお子。 | 作成日時:2020年3月31日 22時

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