君は太陽

リハビリ ページ9

橙side






｢おっ、こんにちはー！｣



紫｢こんにちは、お願いしますー！｣



｢Aちゃん、こんにちは。久しぶりやね？｣



『…んにちは、ひさしぶり、』






…うん。確かに症状は出てるなぁ。






事故当初から担当してるAちゃん。





この前発作が続いたことで、最近は調子が良かった失語がまた出てきてしまったみたい。





Aちゃんの場合は、こっちの言うことは分かってるんやけど、文の構造が上手く立てられなくて、単語レベルでしか言葉が出てこないもの。






事故から落ち着いてすぐにここに来た時は、単語もままならない状態やったから、言葉が出てる時点ですごい成長やねんけどね。







｢ほな、始めましょかー。｣







久しぶりのリハビリやし、今日は遊び程度に。






｢じゃあAちゃん、これなーんだ？｣





フルーツが書いた絵カードを見せて、それが何か答えてもらうリハビリ。





ちなみに正解はブドウ。






『……ぶ、どん、んー、』


｢おっ、おしいなー！これは、ぶ、ど、う。｣


『…ぶ、ど、う。』


｢おっけー！じゃあこれはなにー？｣


『…いち、ご！』


｢すごいやーん！せいかーい！｣






自分が思ってる発音が出せてないってことにAちゃんも気づいてて、ちょっとイライラしてしまうこともあるけど、できた時にこれでもかってくらい褒めたら、すっごい嬉しそうな顔をしてくれる(笑)



これも、Aちゃんがご家族に愛されてる証拠やと思う。



話が通じひんってコミュニケーションをとろうとしない親御さんもいる中で、Aちゃんとこは逆にいっぱい愛情を注いではる。



リハビリとかも大事やけど、それがいちばん大事やと俺は思ってる。







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