簡単な作業 ページ9
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「最近片付けとらんかったから散らかっとるけどカンニンな。」
「いえ...全然。」
村上さんはポケットから鍵を出し、鍵穴にさしガチャリと回した。
紺色のドアが開くとパッと玄関に明かりがつく。
「チー、帰ってきたでー。」
靴を脱ぎながら村上さんは廊下の先に向かってそう言った。
するとタッタッタッと小さな音が聞こえて暗い部屋から、猫が出てきた。
さっきの写真の猫。とても可愛い。
可愛いけど.....猫にちゃんと挨拶するんだ、と私は猫より村上さんを見てしまった。
村上さんが猫を飼っていると聞いた時もビックリしたけど...
なんだか...可愛らしい。
そんな事を考えている呑気な自分に、もう一人の自分が叱責する。
なんで、のこのこ付いてきて家に上がろうとしているの？
たとえ村上さんがそういう事は気にしない人で、本当に猫を見てほしいから私を誘ったにしても、だ。
彼女のいる男の人の家に、上がり込むなんて。
「何突っ立っとんねん。遠慮しやんと上がりぃな。」
しゃがんで猫のチーを撫でていた村上さんは不思議そうな顔をして私を見上げた。
「....お邪魔、します。」
私は靴を脱ぎ、家に上がる。
それはとても簡単な作業だった。
「Aも猫好きなん？」
「犬よりは、猫派ですね。」
「俺は犬は嫌いや。」
「村上さん犬派っぽいのに。なんで嫌いなんですか？」
「昔噛まれたから。」
大真面目な顔でそう言う村上さんに思わずふふっと笑ってしまう。
「おいコラ、何笑てんねん。」
「すいません。理由が余りにもしょーもなくて。」
「しょーもないとか言うなや！ホンマに怖かってんであれは。
...あ、テキトーにソファでもどこでも座ってや。」
村上さんの部屋は無駄な物がなかった。
ソファと大きいテレビとローテーブル。それと猫用の檻とキャットタワー。
ローテーブルの上にスポーツ雑誌が何冊か積まれていた。
綺麗に掃除されていて、物が少ない。
とにかく物が多い錦戸先生の家とは大違い。
大人の男性は部屋だってこんなに綺麗なんですよーって。見せてやりたい。
と思いながらソファに座って近寄ってきたチーの顎の下を指で撫でた。
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ココナッツ(プロフ) - たむこさんっ…編集社と作家、文学作品に村上春樹、錦戸亮に村上信五…私のツボのオンパレード過ぎてこれはもうドキドキしかありませんっ続きを楽しみにしてます！ (2018年2月7日 2時) (
レス) id: d0c3580366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たむこ | 作成日時：2018年2月5日 9時
