ハンサムからの要求 ページ24
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パーティが始まる10分前、ホテルのパーティ会場もその前のフロアも人が段々増えてきた。
私達出版社側の社員の中にちらほらと有名な作家さんもいて、私は会場の前に立ちながら人々の交流を眺める。
錦戸先生からなんの連絡もないけど、本当に来るんだろうか。
人を縫ってフロントまで移動してポケットから携帯を出すと、
それと同時に電話がかかってきた。
「もしもし。」
『あ、駅まで着いてんけどさ、道分からへんから迎えにきてくれん？』
「...それなら、お金出すんでタクシー使って下さい。」
『土曜やから人多くてタクシー捕まれへんねん。俺が地図見ながら行くより、山田さんが迎えに来てくれた方が早いやん。』
相も変わらずこの人はめちゃくちゃだ....
私はため息をついて腕時計に視線を落とす。
「分かりました。すぐ行きます...。」
電話を切りすぐに外に出ようとしたら、
「A！」
後ろから彼の声に呼び止められた。
「どこ行くん？もう始まんで。」
腕時計をみながらこちらに歩いてくる村上さん。
「錦戸先生の迎えに。」
「迎え？ほんなん、タクシー使うてもらえばええやんけ。」
村上さんは怪訝な顔をする。
「なんか、捕まらないらしくて。」
「...ほぉか。ほな俺が行ったろか？」
「いえ、大丈夫です。急いで行ってきます。」
私は彼に頭を下げると外に出てホテルの前に止まっていたタクシーに乗り込んだ。
村上さんに先生を迎えに行かせるなんて以ての外。
できることなら、今日はなるべくあの二人の接触を避けたい。
ホテルから駅まではものの10分もなくて、すぐに着いた。
タクシーを一度降り、駅前で先生を探す。
確かに駅前は休日らしく人や車で混んでいたけど、路肩には黄色やら緑色やら様々なタクシーが停車していた。
「山田さん、」
名前を呼ばれた方を見ると、錦戸先生がいた。
ポケットに手を突っ込んで私の方に向かってくる。
グレーのスーツを纏い、髪の毛はワックスで固められている。
いつものTシャツにデニム、無造作な髪型の先生とはあまりにも違いすぎて一瞬目を疑った。
彼はやはり美形と呼ばれる人種なんだろう。
日本人離れした目鼻立ち、凛々しい眉毛。他の人にはないオーラを発していた。
しかし今私が気になるのは、先生のハンサムさではなく、
駅前にたくさん停まっているタクシーの方だ。
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ココナッツ(プロフ) - たむこさんっ…編集社と作家、文学作品に村上春樹、錦戸亮に村上信五…私のツボのオンパレード過ぎてこれはもうドキドキしかありませんっ続きを楽しみにしてます！ (2018年2月7日 2時) (
レス) id: d0c3580366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たむこ | 作成日時：2018年2月5日 9時
