牛すじカレー ページ31
. tadayoshi
他に行くアテなんかないし、仕方なくまた渋滞に揉まれながら家に戻った。
ほんまになんかあったんちゃうかな...
帰り道に具合悪なってもうたとか、変な奴に連れてかれたとか...
あかん...めっちゃ心配や...
心配やのに、こんな時でも腹は減る俺ってなんなんほんま。食い意地張りすぎやろ。
我慢してみるけど、ぎゅるぎゅる鳴ってうっとおしいし、
なんか腹に入れようってキッチンの方に行った時に気づいた。
この鍋、昨日出てたっけ?
IHの上に置いてあった圧力鍋の蓋を開けると、俺の好きな匂いが鼻をかすめる。
.......カレーや。
しかも、いつもの牛スジカレー。
鍋に並々と入っとる。
やっぱりこんなん昨日なかったし、量からしたら作り置きって感じもする。
慌てて冷蔵庫を開けると、タッパーの中にポテトサラダが置いてあった。
これも昨日なかったはず。
待って.....
てことは、今日家に帰ってきてないわけちゃうん?
A、いつからおらんの?
最後にAとちゃんと喋ったの、いつやったっけ?
一昨日?
一昨々日?
頭を抱えてソファに座りこんどったら、ローテーブルの上の携帯が音を立てた。
バッと顔を上げて手に取ったけど、画面に映る文字はAとちゃう。
「もしもし...?」
『あーもしもしぃ?僕やけど。』
こんな時の間延びしたヤスの声はなんだか腹が立つ。理不尽にも程があるけど。
「.....どないしたん、」
明らかに低いトーンで返事をする。
『いや、Aちゃんと会えたかなー思って。俺のとこは相変わらず既読付かんからさ。
大倉が会えたんならええけど。』
やっぱり、ヤスは鋭いというか、気配りがすごいというか。
「それが...おらんねん。家に。」
はぁっとため息をついて髪の毛を搔き上げる。
『...どういうこと?』
どういうこともなんも、ただいつもおるはずのAが家におらんってただそれだけなんやけど、
でもAは普通の子みたいに遊びに行ったらせえへんこと、
バイト先にも行ってみたけどおらんかったこと、
作り置きのカレーとポテトサラダだけ残ってたこと、
ざっとヤスに話すと、ヤスは黙り込んだ。
『大倉、今から外でてこられる?』
沈黙の後、いつもより低い声でそう言われた。
.
1989人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
けー(プロフ) - はじめまして、いつも密かに読ませていただいてます。丸山さんのお話を読みたいのですがパスワードをお教えいただけませんでしょうか?二十歳はとっくに過ぎてます(苦笑) (2018年2月5日 17時) (レス) id: 0a1704cff3 (このIDを非表示/違反報告)
かなえ(プロフ) - はじめまして!いつも楽しくお話読ませていただいてます。丸山さんの話の続きがとても気になるのでパスワード教えていただけると嬉しいです! (2018年1月29日 15時) (レス) id: f6bacbef98 (このIDを非表示/違反報告)
ねねけろ(プロフ) - 本気で愛深めました、連載お疲れ様でした!何回も最初から読み返すほど大好きな作品です!コメントで申し訳ないんですけど丸山さんの作品パスワーク教えていただけますか?成人はしてます!! (2018年1月28日 18時) (レス) id: 88a3919034 (このIDを非表示/違反報告)
ぐん(プロフ) - はじめまして、ボードにたどり着けずこちらから失礼致します。丸山さんのお話拝見していました。是非続きを拝見させていただいたいので、パスワードを教えて頂けないでしょうか? (2018年1月27日 12時) (レス) id: f286bcfcbe (このIDを非表示/違反報告)
まき(プロフ) - はじめまして!ボードにたどり着けず…こちらから失礼します。続きがとっても読みたいです。パスワードを教えていただけると嬉しいです! (2018年1月26日 21時) (レス) id: 323a1bc773 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たむこ | 作成日時:2017年12月3日 10時