No.6 ページ6
目の前には紅茶とクッキー。紅茶を口に含み一呼吸おいてから話し始めた。
「百々ちゃん。僕の個性についてってどこまで聞いてる？」
手伝ってほしいことといっても自分の個性『インクリング』をどこまで知っているかによって説明の仕方が異なるし一応の確認。
「Aさんの個性ですか？お父様からはご両親から突然変異した個性としか聞かされておりません」
「そっか。なら大まかに特徴を言うとイカスミの代わりにインクを出せる。そして人からイカへと変身できる個性」
「イカスミの代わりにインクですか？ですからAさんは橙色をしているのですね」
「そうだね。それで僕の個性を活かすにはブキと呼ばれるものをこのインクから作り出す必要がある。だからそれを手伝って貰えればと思ってね。今日のお茶会はそのお願いをするために設けて貰ったってわけ」
一呼吸置き話を続ける。
「まずそのブキと呼ばれるものの完成形がこれ」
そう言ってスプラシューターをインクから生成させる。
「それが武器ですの？Aさんがインクからと言ったのはそう言うことですか。触って宜しいでしょうか？」
手に持っていたスプラシューターを受け渡す。
「案外軽いですね。これが武器になるのでしょうか？おそらくAさんのインクを弾にし攻撃すると思うのですが」
話が早くて助かる。実践しようにも結構痛いらしいし何かゴミとかあるかな？
「ブキにはなるね。百々ちゃんが言った通りインクタンクと呼ばれる心臓みたいなものを通してブキにインクを供給することで真価を発揮するそれが僕の個性」
「武器製作に携わることは出来ますが完成図などはありますか？」
「完成図は持ってきているから今やるのもありだけどどうする？」
「やりましょう。早いうちに試したいこともありますので」
なんか百々ちゃんお父様の血引きすぎじゃない？理解が早くて助かるけど劣等感感じるよ。とほほ。
「完成図はこれね。手伝ってくれてありがとう」
そう言ってテーブルに広げる。それを身ながら繊細な作業をしている百々ちゃんを眺めている。サブウェポンの開発を進めながら。今はクイックボムの製作。インクで薄い幕を作りそれにインクをつめる。それを繰り返していたら2時間経っていた。
互いに作業を始めてからは終始無言だったためメイドさんが来るまでは時間など忘れて楽しんでいた。
「あっ。Aさんもうお帰りの時間ですか……」
メイドさんに帰ることを告げられ寂しそうに自分を見つめてくる。
「また次お茶会するんでしょ？次も誘ってよ」
次回のお茶会を楽しみに百々ちゃんからブキを回収して手を振っり帰ったAであった。
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作者名：細波 | 作成日時：2024年3月28日 22時
