個性『インクリング』で行く二人目の雄英内通者！ (ページ16)

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はい。砂藤くんが自分の代わりに試験に落ちていたようです。できることならば21人でいたかった。現実的には無理だけど。

扉を閉めようと振り返ると目線は下にある寝袋に包まれた相澤消太(あいざわしょうた)ことイレイザーヘッドに向けられる。目と目があう。それでも声は一切発せず体は完全にフリーズし動こうにも動けない。まるで時が止まったようだった。

「友達ごっこしたいなら他所(よそ)でやれ。ここはヒーロー科だぞ」

そう言葉を放ちinゼリーを口に流し込む相澤先生。その姿には皆が絶句している。

「ハイ。静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね」

そう口にした。皆が『この人が先生？』そう思うのも当然だと感じる。だって初登場寝袋だし。

「てことはこの人もプロヒーロー……」

そして相澤先生は皆の疑問に答える。

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

不潔そうな男性が担任なのは信じたくないからなのか一部の女子は固まる。

「早速だが体操服(これ)着てグラウンドに出ろ」

その言葉に従い皆ゾロゾロと更衣室に入る。個性の関係上インクで体操服を包んで吸収すれば着替えられたので更衣室にいた時間は10秒くらい。

できれば話したかったけど初対面かつ他の人と話してたこともあって即座にグラウンドへ向かっていた。

「お。早いなA」

相澤先生は束縛布を纏っており束縛布の端が風で揺れている。全然関係無いけど束縛布が風に揺れ首に当たってて痒くないのか疑問に思う。そんなこと聞けるはずもないんだけど。

「そうですね。個性の関係上10秒くらいで着替えが終わりますので」

敬語は社会人の常識みたいなものだと親から学んでいるのでつい敬語を使って話してしまう。内申も良くなるかもしれないし。

「それは楽だな」

「……」

なんと返せば良いのか分からず言葉が詰まった。おかげで少し気まずい。それでも年上(精神年齢は同じくらい)なのもあって緊張感は解れてきている。更衣室から離れ10文くらい経つ。続々とグランドにはデク君や爆豪、轟君といったクラスメイトが集まってくる。

「お前らには今からテストをして貰う。その名も個性把握テスト」

「「個性把握……テストォ！？」」

クラスの声が重なった。初っぱな入学式とガイダンスすっ飛ばして初手テストだったらこうなるよね。知らなかったら今ここで声を揃えてたと思うし。

「入学式は！？ガイダンスは！？」

皆の疑問をお茶子ちゃんが先生に投げ掛ける。

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」
「雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまた然り」

そう最初の試練の始まりだ。