ただの部下、卒業します。＿Ryota.K

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入社式が終わり、早速各部署に移動した。

午後は簡単な仕事説明だったり、同期や先輩とのレクリエーションを行うらしい。





藤｢改めまして、開発部部長の藤堂慶一です。
まずは入社おめでとう。そしてこれからよろしく。
開発部では常に新しいものを作るため、流行に敏感でなければなりません。｣

『流行…』

藤｢これから社会人として負う責任や仕事も増えてくるわけですが、若い君たちにしかない豊かな感性を存分に発揮し、共に会社を盛り立てていきましょう。｣

『｢はい！｣』





おぉ、なんか…社会人って感じ…
私もう学生じゃないんだよな。





藤｢課長の片寄は少し出ていてね。
先に新入社員の自己紹介からお願いします。｣

『片寄課長…』





あれ？そういえば社長も片寄だったような…
そんなに多い苗字じゃないよね？

もしかして息子とか…それはないかな？





??｢はーい、姫野菜々です！
この前まで短期大学で学生やってました〜
力仕事とかは自信ないけど、頑張りまーす！｣





ぼーっとしていると、早速新入社員の自己紹介が始まった。開発部の新入社員は私を含めて2人。

もう1人の子は目がくりくりで背の低い、ボブカットの可愛らしい女の子。短期大学だから2つ下らしい。

流れ的に私の番だが地味で冴えない私がこの後に自己紹介というのは、なんだか気が引ける。





『吉田Aです。本日はこのような会を催して頂き、本当にありがとうございます。』





せめて仕事ができる女に見せようと真面目に頑張っていたところ、間が悪く課長らしき人が帰ってきた。





『不慣れな…』

??｢すみません、ただいま戻りました。｣

藤｢あぁ、片寄。ちょうど新入社員の自己紹介を…｣

『…え』

??｢は…？｣

藤｢どうした？｣





振り返ると、そこに立っていたのは面接の日に散々文句を飛ばしたあの性悪オールバックだった。

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