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姫「おはようございまーす!」
『おはよう、姫野さん。』
姫「昨日の資料できました?」
『これ…』
姫「さすが吉田さん!ありがとうございまーす。」
翌朝、私はすぐ姫野さんに資料を渡した。
ほら、ありがとうって。私頼られてるんだよね?
大丈夫、私を信じてくれてるんだ。
佐「姫野ちゃーん!できた?」
姫「佐伯さん!おはようございます。どうぞ!」
佐「おぉー、さすがだね!うんうん…なんか昨日よりもさらにレベルアップした??」
姫「えぇー、そんなことないですよ〜!」
佐「本当だって!でさ、姫野ちゃん仕事早いから…これも!お願いできない…?」
姫「えぇー、もう!仕方ないな〜」
姫野さんは横目で私をちらっと見た。
また私を頼る気なのだろう。
いや、違う。頼られてるんじゃない。
ただ利用されてるだけ、本当はわかってた。
『姫野さん、私もうあなたの仕事手伝えない。』
姫「…え?いや、え?何言ってるの?」
佐「え、ごめん、姫野ちゃん!
私が頼んだせいで時間足りなかったとか?」
姫「違いますよ!全然…!大丈夫です!」
『先輩、その資料も昨日の資料も姫野さんが作ったんじゃないです。』
姫「ちょっと吉田さん!」
佐「え?ちょ、ちょっと待って!
いきなり何を言うの?吉田さん…」
『だから………え、ちょ…』
姫「…ぅぇ…グスッ…ひどいよ、吉田さん…っ…」
佐「ちょ…姫野ちゃん!?」
私と課長で作ったのだと言おうとしたら、急に姫野さんが泣き始めてしまった。
人間というのは不思議なもので、どちらが正しかろうと、泣かせた方はたちまち悪役に見えてしまう。
実際、私に向けられたのは疑いと軽蔑の目だった。
佐「吉田さん、どっちが作ったかはまた今度にしてもらっていいかな…?」
『え…あ、えーと…』
姫「吉田さん…グスッ…菜々、何かしたかな…?」
『姫野さん!』
姫「…ひっ!ごめんなさいぃ…グス…」
佐「ちょっと吉田さん!」
どうして私が説得されてるみたいになってるの?
私が悪いの?
大丈夫だって強がったから?
仕事断れなかったから?
じゃあどうすれば良かったの?
何もかもどうでも良くなって、私はデスクに戻った。
やっぱり何もしない方が良かった。
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りさ - 続編楽しみにしてます(*^-^*) (2020年11月17日 0時) (レス) id: fbc5b984b4 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - はい(*^-^*)分かりました(*^-^*) (2020年11月8日 1時) (レス) id: 87b8d1fdb4 (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - りささん» ありがとうございます。2もよろしくお願いします! (2020年11月7日 23時) (レス) id: 34d49d678f (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - mさん» ありがとうございます!嫌な女感が伝わっているようで良かったです(笑) (2020年11月7日 23時) (レス) id: 34d49d678f (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き楽しみにしてます(*^-^*) (2020年11月5日 1時) (レス) id: e5bc4cbbcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いくら | 作成日時:2020年10月16日 22時