特殊刑事課所属、唯乃勇者。2

けいさつ の ついげき▼ ページ3

どちらにしても、とっとと安全にドリー先輩に身を委ねてしまうのも1つの選択肢なのかもしれない。

という、私の推測なんてお構いなしにカニが無神経に叫ぶ。

「あ！ドリーさんがAを警察署(おうち)に連れ込もうとしてる！！」

「抜け駆けはさせないぞ！A、我はずっと言ってなかった事があるー！！」

「なーにー？」

「我はAを愛している！結婚を前提に付き合って欲しい！！」

目の前に土下座スライディングしてきた皇帝。流れるように両手を握りしめられる。スゴい潔いまでの直球ストレートに流石に皆動揺してしまう。が、皇帝は勝ちを確信したように自信満々の顔で続ける。

「ただ、皇帝はB型の血しか受け付けてないので一度血をすべて抜き取ってまたB型の血を入れ直して欲しい」

「いや、私に死ねと……？」

皇帝の完全敗北が確定した瞬間に嬉しそうに割り込んできたまるん。何故かいつもよりテンション高めだ。

「Aさんは男性への耐性があまり無いですね」

「おん……？どうしたんすか、いきなり」

「男性と仲が良いように見せかけて、過度なスキンシップが発生すると身近な男には暴力。それほど身近でない、または尊敬している先輩相手には戸惑う。実際に」

ぐいっと、距離を詰めてきたまるん先輩。さっきの皇帝先輩同様に勝確と思い込んでいる顔をしている。

「尊敬している俺が急接近すれば惚れ」

反射的にグーパンしちまったぜ、やれやれだ。「殴られたということは身近だと思ってくれているということか」とか何故かポジティブな方向に思考を展開していっているまるん先輩はスルーして。

「ゆ、勇者は私のものよ！」

頑張って高めに声を張り上げた赤城先輩。何か勘違いしてるみたいだが、面白いから乗っとくか。

「赤城姫！いつぞやの夜をもう一度やり直させて欲しい」

「もちろんよ。俺…私も勇者様ともう一晩」

「あー、アレか夜って。赤城煉がその新人の勇者さんを個室に連れ込んだ時の」

思わぬところからイイ声の横槍が入る。煉先輩エンドが確実に安牌だったのにヴァンダーマーに阻止されてしまった。

「煉先輩、個室にってどういう事ですか！？」

「これさすがに連行やね？」

「やめてくれ力二、マンゴー！これには理由が」

抵抗虚しく署に連行されていった赤城姫。「ちょっと、ヴァンさんのせいですよ！」と抗議の声をあげたら「ゴメンネ」ってテヘペロしてるオジサン。可愛いから許すか。

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