【d!】おいしくたべれる賞味期限。【zm】

逃げぬ羊 ページ1

＊


目の前に居るクッキーを頬張る少女をまじまじと観察する

...此奴、逃げへんな...

さっきこの山ん中で見つけたとある一家

此奴以外の家族は全員喰い荒らした。

それも此奴の目の前で

なんに逃げへんのかどうなっとるんや...

にしても此奴...美味そうやな！


zm「オマエ美味そうやなぁ」

『んむ？』


クッキーを食べる手を止めて不思議そうにこっちを見る少女にドクリと心が跳ねた

ええなぁ...無垢な目...

純粋で、真っ白で、まだ何も知らへん、キラキラとした目


zm「俺はな、ゾムっちゅーねん」

『ぞむ？』

zm「おん。」


まだ何が何かわかってへんような目をしとるなぁ

見た感じ幼いから状況把握ができてへんのやろな


『ぞむもくっきーたべる？』

zm「んー、いや、俺は腹いっぱいやからええわ。...それよりさぁ、俺のこと怖くないん？」

『こぁくないよ？』

zm「ほーん。」


どさりと地面に腰を落として胡座をかいて顎肘をつきながら少女...チビを見つめる

あ、またクッキー食べとる、

お腹減っとるんかなぁ


zm「腹減っとるん？」

『んーん、おなかいっぱい』

zm「じゃあなんで食べとるん？」

『おかあさんがつくってくれるくっきー、これがさいごだから』


ハッと目を見開くと、目の前に映るチビは大粒の涙を流しながらクッキーを頬張っていた

なぁんか、ここまで来ると殺しにくいなぁ


zm「なぁ、オマエ何歳？」

『じゅ！』

zm「ほーん...10歳なぁ...」


んー、賞味期限ギリギリってとこやな...

10歳にしては言動が幼いなぁ、

このまんま喰べてもおもろないし...


zm「な、俺についてこぉへん？」

『ぞむに？』

zm「おん。しばらくの間はそばに置いとけるで。」

『...』

zm「ついてこぉへんのなら今殺すけど...どっちがええ？」


二択。

チビはどっちを選ぶんやろうか。

小さいし流石に賢くはないやろうから嫌だって言うんやろか

泣き喚いてくれたら今ここで殺して喰べてやるんやけどなぁ...


『わたし、ぞむについてく』


ボフっと何かに衝突された感覚が走って

後ろに倒れる

グリグリと胸に何かが擦れる感覚がある


zm「なにしてくれとんねん、チビ。」

『わたし、ちびじゃないよ！Aっていうよ！』


俺の上でジタバタ暴れながらそう訴えるチ...Aを抱き上げて

上体を起こして座り直す

Aはニッコニコの笑顔で俺のことを見つめとった

...此奴ほんまに自分の家族を俺に喰い荒らされたところを見た奴よな？

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