15年 (ページ48)

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ようやく気づいたページ48

髪もメイクもボロボロ。 すっぴんの方がマシなくらいだ。

  私はアパートのオートロックを解除して階段を何段も飛ばして駆け上がる。 エレベーターなんて待ってられない

    目的地へ到着し、鍵が掛かっているドアノブをガチャガチャとしまくったり、ドンドンとドアを叩く。
 これしか手段はないのだ、仕方がない。 今、手元に鍵があったとしても涙で滲んだこの視界では鍵穴に鍵を差すことすら困難だろう

    しばらく続けているとガチャリと鍵が開く音がした

晶哉
 「健も正門も今はまじで遊ぶ気分になれへんって……」

   『っまさや………』   

私の顔をみるなり急いで私を部屋に招き入れる。 さっきまで生気のなかった顔はすぐさま焦っている顔になった

私はホッとして玄関で膝をつく。
 晶哉は私の肩を掴みながら、

晶哉
   「どしたん、また誠也さんに傷つけられたん？」   

と顔を覗き込んでくる。   自分が一番辛いはずなのに、どうしてそんな風に優しいの

  初めの暴言だって、間違っていることを私に教えてくれた。 
その後も数えきれないくらい、いつも私のことを一番に助けてくれた

一緒に買い物をして、喧嘩もしたけどこんなに楽しくて幸せな時間があるんだってことを教えてくれた

私は、貴方が、晶哉が、      

『好き』 

　
  晶哉 
「え？」   

 『晶哉が、好き。ずっとそうだったのに、好きだったのに……』  

 晶哉 
「嘘、うそや」   

 『ずっと、待たせてごめん。馬鹿で自分の気持ちにも気付けなくてごめん。晶哉のそばに、居させて』       

しゃがみ込んでいた晶哉は力を失ったように床に膝をつく。 床には、水滴がぽたり、ぽたりと2粒落ちて、止まった

       晶哉 
「もう、本当に終わったかと思った…」

    晶哉はため息をつきながら下ばかりを見て、そして口を閉じて何かを噛み締めているようにグッと口元に力を入れた

        お互い無言の時間が自分の中の感覚では数時間に近かった

        『……で、あの........返事は........？』  

晶哉 
「........お前、もう少し余韻に浸らせろや」    

いくら愛おしいと気付いた彼でも睨み上げられたら震えあがるものだ

    『い、いやだって…気になる…』    

そう言うと晶哉はため息をついて、私の涙で濡れた目元を親指で軽く拭った