15年 (ページ40)

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ヒーローページ40

ぷちんと、何かが切れた。          

『妹』    

誠也
「……え？」    

『誠也くんの大切は、沢山の種類がある！私への大切は私の望んでいる大切じゃない！そうやっていつも期待させて向こうに戻ったらすぐ絵里さんの元へ行くんだ。  私はずっと、    ずっと、     誠也くんが好きなのに、』

     一度言ってしまっては止めようがない。 
もう言ってしまったんだから終わりなんだ。
このままもう、妹としての私も終わりだ。

       『誠也くんは何にも分かってない！』      

誠也
「っ…Aちゃん！！」

          酷い、酷すぎる。 
勝手に逆ギレして、告白して、こうやって誠也くんに呼ばれているのに無視して。 とにかく全速力で走る。
  沢山の風を受けているのに涙は全然乾いてくれない。      

私はもうひとつの近所の公園に入る。 
誠也くんが中学校に入学してから一人で遊ぶようになった公園。 そこのベンチの上で体育座りをして、うずくまる。      
黙っていれば、良かったのに。

 「ありがとう」と答えていれば今は誠也くんと妹として微笑み合えていたというのに。
   でも、あの時は我慢できなかった。
 追い付いたら突き放されて、追い付いたら突き放されて。  
我慢できなかったからあの場で告白してしまったというのに、今は後悔の気持ちでいっぱいだ。     
　

晶哉達に、なんて報告しよう。 
あんなに応援してくれていたのに勢いで告白して失恋しましたなんて…。しかもこの顔。
 涙でぐちゃぐちゃのこの顔を親に見せれない。  
どうやって、言い訳しよう。

      『そうだ、転んで怪我して泣いたとかにすれば……』   

目の前には丁度いい硬度の土の地面がある。 
程よく怪我できるだろう。  …………仕方ない。

        『よし、転ぶか』          

晶哉
「何でそうなんねん」          

何でこの声が頭上から聴こえるの、

     私はバッ！と膝に埋めていた顔を上へ動かす。          

そこには、ヒーローが居た。

      はあ、はあ、と白い息を漏らしながら私を見据える、       

犬のマフラーを首に巻いたヒーローが。     

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