15年 (ページ39)

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違和感ページ39

『だって絶対誠也くん絵里さんのマフラー付けて待ってるよ。そこでマフラー渡すの？』
 
晶哉 
「1万8千円もしたんやで？まず勿体ないやろ！値段だけじゃないけどあんなに考えて買ったもんやし押し付けて渡せ」

  『それで断られたら？』

   晶哉 
「上手くいってもいかんくても話は聞いたるから。あと、さっき健や良規に連絡したら、
  ” もしAが泣いたら俺ら終電でもチャリでも向かうから！” やって」        

私はなんて良い友達に恵まれたのだろう。
 なんだか、振られたとしても断られたとしても、頼れる場所があるなら思いきれそうな気がしてきた。     

『晶哉は来てくれないの？』  

晶哉 
「俺はばーちゃんがおるから」    

…ここにきて急な現実感

晶哉
 「それよりいいん？もう15分経ったで」 

 『え？うわ本当だ！ヤバい！遅れる！』

 晶哉 
「なんでこんな焦るん…」

  『何？聞こえてるから！』

 晶哉 
「はいはいすいませんでしたー。…じゃあ         頑張れ、         」

まただ。
 また晶哉の言葉が私の背中を押す
私は白地の誠也くんが好きそうなコートを羽織って、紙袋を持って外に出た

          誠也くんはもう既にベンチに居た
月を見上げている誠也くんはとても綺麗でどこか妖艶だ。
   誠也くんが私に気付き駆け寄ってくる。  

誠也
 「Aちゃん！」    

いつものように優しく笑いかけてくれる誠也くん。
でも何か違和感。     あれ？なんで？       

『なんで……マフラーしてないの？誠也くん』

       誠也くんの首元にはあるはずの絵里さんからのマフラーがない。 首元は寒さで赤くなっている。  

誠也 
「ん？ああ、あの子に聞いたんやな。俺もAちゃんのこと聞いちゃったからおあいこか」

  そう言って笑いながら指で首元をさする。    

『いやでも、なんで絵里さんのは……』  

誠也 
「Aちゃんのを、付けるで？」 

  『え？』      

幸せそうに目を細めて誠也くんは続けて言う。
  何でそんなことを言うの
そうやって期待をさせてまた裏切って   …

だめだ、誠也くんへの想いが好意から、今までずっと溜めにためてきた怒りへと変化して言っている。  
これ以上、言わないでよ。       

誠也 
「Aちゃんは、絵里より大切な子やよ」        