15年 (ページ32)

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わかんないよページ32

誠也
「Aちゃん、犬に思い入れでもあるん？」   

『うん、犬は晶哉なの。晶哉に言ったら怒られるけど』  

誠也 
「晶哉……いつもAちゃんと仲ええよな。その子」   

『え？仲良い？まじかーそう見えてるのかー』     

嫌そうな物言いにはなってしまっているがにやにやは隠せない。 自分にとって良い奴と自分が仲が良いと言われるとやはり嬉しいものだ。       
花火ももうクライマックスに差し掛かった。
単色の花火が沢山打ちあがり、カラフルな花火とはまた違う綺麗さを演出してくれる。

      ……あ、晶哉にこれ、見せようかな。 

先程のお礼も含めてスマートフォンで写真を撮ってLINEに貼り付けよう。   
私は先ほどしまったスマートフォンを取り出そうとポケットに手を伸ばす。            

伸ばしたはずだった。
     だけど、心臓が、掴まれた。      

いや、正確には違う。
          誠也くんに、手を掴まれた。        

ポケットに行こうと進めていた私の左手は誠也くんの右手に取られて、そのままベンチに不時着した。         

　

誠也 
「ふふ、懐かしいな？こーやって手を繋ぐん」       

懐かしい？     

誠也くん、私達手を繋いだの、2回目だよ。
   1回目は初めて会った、あの時だけ。
    それ以来、私が繋ぎたがっていてもその笑顔で上手に流していたじゃない。     
なんで、今なの。        

誠也 
「またAちゃんとこうやって花火見れて嬉しいわ〜」

    私の目を見つめながら繋いでいる手の親指で私の手を撫でる誠也くん。 
もう花火なんて視界にさえ入らない。    

『うん、嬉しいね』   

少しだけ握る力を強くしてみる。 
すると誠也くんは握った手を見て再び笑った。 
そして負けないよ、とでも言うようにキュウ、と握る力を強める。    

誠也
 「ほんまにAちゃんとこれからもずっと一緒におりたいわ」       

『………妹として、なのにね』   

誠也 
「ん？なんか言った？」    

『……ううん、言ってない』     

私の小さな本音は誠也くんの耳に届くことはなかった。

          少し誠也くんがわからなくなった、    一生忘れられない夏休みの想い出。

更新頑張りますので🌟評価お願いします！^_^