15年 (ページ30)

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機嫌がいいあいつページ30

私の言葉にははっ、と笑う声が聴こえる。 

音の振動が耳を刺激して、少しくすぐったい。    

晶哉 
「何そのポエム」   

『ね、私もそう思った』     

自分でもポエムかよと思っていた事を言い当てられて思わず口元が緩む。       
その時だった。          
目の前に光の帯が下から上に夜空へと舞い上がって、全方向に散った。   

ドン、という重低音が心地よく胸に響く。

      「『あ』」     

普段は星や月のような金と銀の色彩なのに赤や青、黄色や緑の彩とりどりの光が飛び散った。

       『今日、花火の日だったんだ……』  

晶哉 
「………お前の地元は花火大会なん？」  

 『え？晶哉。さっき「あ」って言ってなかった？』  

晶哉
 「……それはスマホから大きな音が聴こえたから」

   『ええ？音で声出すとかビビりだね』 

 晶哉
 「今なら花火の音で聴こえへんかったことにしてやるけど」

   『すいませんでした。』         

どん、どん、と次々と花火が打ちあがる。
 結構な田舎だって言うのに、こういうイベントごとには力を入れるよな。 
昔よく、誠也くんと一緒に見たっけ。

        『……私、いつになったら誠也くんを諦められるのかな』 

 晶哉 
「俺が知ったこっちゃないわ」

   「ですよね……」     

花火の音で聴こえないと思い小さく呟いたのに見事に拾われた。 そして見事に突き放された。    
私の反応にクスクスと笑う声が聴こえる。 

この野郎、遊びやがったな。 

面と向かってはできないので今がチャンス。
思いっきり舌打ちをしてやった。 
すると機嫌が良いのかごめんごめん、という謝罪が聴こえる。
 晶哉が私に謝るとかあの飲み物事件の時以来だ。

なんだなんだ、どうしてそんなに今日はご機嫌なんだ。

        晶哉 
「まあ、お前はさ……」    

そう晶哉が言いかけた時、

      「Aちゃん！！」