15年 (ページ22)

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アイツの優しさページ22

大学生活にもある程度慣れてきた夏。

 健、良規、晶哉の3人と一緒に行動することがほとんどになった。

 この3人とは馬が合うみたいで、
向こうも私を友達として歓迎してくれた。

     誠也くんとは…… 正直、関わることがあまり無くなった。  

もともと学年が違うってこともあるけど、
誠也くん自体は今でも話しかけに来てくれるのだ。
 問題は、私の心なだけ。      
絵里さんが嫌いなわけでは無い、決して。

   ただ、2人に 

絵里 「これから3人で夕飯食べない？」 

 とか
 
誠也 「俺の家でええなら」

  とか。     

そんな大好きな誠也くんと絵里さんが
愛を育んでいる家になんて行きたくない。
 2人が作り出す幸せな空気に包まれたくない。   
そう思い答えを渋っている時に
ひょっこりと現れるのは決まって晶哉だった。   

晶哉 
「なぁ？レポートの提出期限あと1時間やけど出したん？」

 
 『レポート……レポート……っああ！！やばい忘れてた！』

    既にレポートは提出済みだ。 
晶哉と一緒に出したから晶哉も把握しているはず。

  私は誠也くんと絵里さんに謝って走ってその場から離れる。

 しばらく走ってから
足をゆっくりと止めて
後ろについて来た晶哉の方へ振り返る。

     『ありがとう晶哉。また……助けてもらった』    

もう何度目の救助を受けたのだろうか。
 こうやって何回も助けてもらっていると
最初のカレーの時も彼なりの手助けだったのかな、と
今になって思う。

  いつもの晶哉なら無視してスタスタと歩くのだが今日は違った。    

私のスピードに合わせて歩みを止めて、
じっと私を見据えた。 

この表情は、怒っているわけでもないし、
不機嫌なわけでもない。   

晶哉 
「そろそろちゃんとした方がええで？
彼女さんの方はわからんけど、
誠也さんの方はもう気付いとると思う」

  『………やっぱり、そうだよね……』    

前だったらどんな時でも私に声を掛けてきていた誠也くん。

 でも最近は私が1人でいる時を狙って
話しかけてきているように感じる。 

特に晶哉と一緒に居る時は絶対話しかけてこない。   
このまま幼馴染を避けるわけにはいかないと
自分でも思っているのだ。 

だけど……