15年 (ページ21)

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カレー泥棒ページ21

誠也くんと絵里さんは
私が晶哉と居酒屋で喧嘩してたところを見ていた。 
だから心配で、気を遣ってLINEをくれていた。

  今だってその喧嘩した張本人と昼食を食べているから
心配で話しかけてくれたに違いない。 

誠也くんは、そんな人だ。 
そんな誠也くんと付き合っている
絵里さんだって優しい人に決まっている。     

なのに私、すごく自分勝手なこと思った。
     私って、こんなに性格悪かったっけ。        

カレーが美味しいとかまずいとかじゃなくて、無味になった。         

晶哉
「もう食わん？それ」  
　

『え』     

いきなり隣からスプーンが伸びてきて
残り数口だったカレーを一気に持ってかれる。 

そのままパクリと一口で食べて、

晶哉
  「あ、意外とうまいな？ご馳走様」    

と言って自分と私の分のトレーを持って席を立つ。      

え……ていうか………    

『カレーまだ食べるつもりだったのに！！！！』    

私は席を立ってあいつの元へ駆け寄る。

 あまりにも一瞬の出来事すぎて
誠也くんと絵里さん、
そして健と良規までがぽかんとして
私達のやり取りを見ていた。

    『ねえ返してよ！カレー！』  

晶哉
「無理、もう胃袋入ってった」

  『何なの！もう！』     

そのまま私達は元の席に戻ることなく食堂を後にした。