15年 (ページ14)

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高熱のあいつページ14

一応インターホンは鳴らしてみたけど反応はない。
恐る恐るドアノブを回して部屋に入る。

   『お、お邪魔します………』     

自分の部屋と同じ構造の部屋に入る。 
白と黒を基調としたシンプルな部屋だ。
そしてすごく綺麗。
掃除を欠かしていないことを彷彿させるような部屋だ。    

『あの……佐野……さん？』     

リビングのソファに買い物袋を置いて、
隣の寝室へ顔を覗かせてみる。

 誠也くん以外の男の人の部屋は
初めて入ったからなんだか緊張する。    

『あの………って、え？まって大丈夫？』    

ゆっくりと寝室を覗いてみると、
ベッドでうつ伏せになって寝ている佐野くん。  

息……してる……？    

『佐野くん、とりあえず顔だけでもいいから
横向きな？息しづらいでしょ？』   

晶哉
「んん………」     

目を瞑りながら苦しそうに私の方へ顔だけ向ける佐野くん。

 そっと額に手を当ててみると
素人でも微熱とかそういう領域じゃないのはわかる。
明らかに高熱だ。  

冷えピタシートをぺち、と佐野くんのおでこに貼って
クローゼットにかけてあった
佐野くんのジャケットを持ってくる。

できるだけ一番暖かそうなものは……これか。    よし。    

『おい！起きろ！！』

 晶哉 
「いって！………は？なんでお前が……」

    『それはあとで話すから。行くよ、病院。』 

晶哉 
「は、え、何、」 

 『はいレッツゴー』 

晶哉 
「おい、待てって！……ッゴホ、俺一人で歩ける……ごほ」

      市販の風邪薬じゃ長引くと思ったので
無理やり近所のクリニックに連れ出すことにした。 

さっき用意したジャケットを羽織らせて、
マスクを付けさせて
ふらふらしている彼の身体を支えながらクリニックへ向かう。

    普通の風邪だと診断されて、
処方された薬を持ちながら再び帰り道を歩く。   

待ち時間の間も辛そうで、
私の肩に頭を預けて眠っていた佐野くん。 

あんなとげとげしていた彼が
敵である私の肩に頼る、という事は相当しんどいのだろう。

 私も何も言わずに彼に肩を貸した。     

帰り道、道行く人達にクスクスと笑われる度に
熱で真っ赤な佐野くんの顔が更に赤くなる。     

晶哉
「くそ……男が女に支えられるとか恥でしかないわ……」

   『風邪に男の女も関係ないでしょ。ほら、帰るよ』