15年 (ページ12)

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行き場のない想いページ12

『誠也くん……絵里さん』     

すっごく綺麗な人だった。 
見た目も勿論だけど心もすごく透き通っていて。
 こんな素敵な人に私が勝てるわけないじゃないか。 

心の中では嫉妬や優越感でいっぱいなこんな汚い私。      

今まで頑張ってきたことが全て無意味になったことと、
自分の汚さを改めて感じていると
どうにかなってしまいそうだった。 

泣きたくない、泣いたら負けなのに。
 でもどうしようもないこの感情を
涙という形で何処かに出したかった。

     prrrrrrrrr………     

目から涙がこぼれ落ちるまさにその瞬間、
スマホが大音量で鳴り出した。

 驚きで涙が再び身体の中へ戻っていく。   

急いでスマホを取ると
画面に映し出されたのは「小島健」。 

あ……昨日のこと、謝らなきゃ。

    『もしもし』 

小島
 「あ、A？よかった出てくれて。
昨日何回も電話したんやで？大丈夫か？」 

 『えっそうなの？本当にごめんなさい、色々と。』

 小島 
「俺は全然大丈夫やで？
むしろお金多く貰いすぎてもーたし……」 

 『それは大丈夫。場の空気を壊すようなことしたんだもん。お詫びとして貰って』 

小島 
「いやいや！返すで？それは……
あ、でさ……いきなりなんやけど
Aにお願いしたい事があってん……」

  『え？私？何？』

 小島
 「いや、怒って電話切らんといてな？あのさ……」

          ” 晶哉の家に行ってほしいねん ”          

『………サヨナラ』 

 小島 
「おいおい！待ってーや！
絶対そう言うと思ったけど待って！！
ちゃんと理由があるんやって！」  

 『……理由？』